物議醸す青春映画「少女たちの性的描写」米34議員、ネットフリックスに放送停止求める
米上下院議員34人は、9月9日にオンライン映画配信サービス・ネットフリックスで公開された11歳の少女たちを主役とする映画の描写を問題視し、司法長官に対して配信停止と調査をうながす書簡を送った。デイリー・コーラーが17日に報じた。
物議を呼んだのは、フランスの青春コメディの長編映画『Cutie(邦題・キューティ!)』。厳格な伝統価値に反発し、現代のインターネット文化やダンスコンテストを通じて自己表現を行う4人の少女たちの日常を映す。映画タイトルは少女たちのダンスチーム「キューティ」から。監督は、セネガル移民でイスラム教の家庭に育ったマイモウナ・ドゥクレ(Maïmouna Doucouré)氏(35)。
この映画は、2020年1月23日に行われたサンダンス映画祭で初めて公開され、元イスラム信者であると自身を紹介するドゥクレ監督は、ワールド・シネマ・ドラマ部門で監督賞を受賞した。ネットフリックスは放送権を購入し、9月9日に公開した。しかし、映画には少女たちの演技を含め性的な描写が多数含まれており、物議を醸した。
配信停止の書簡を牽引する米下院ジム・バンクス議員は、ネットフリックスに対して、児童ポルノ禁止条例に違反していると批判している。
デイリー・コーラーの取材に対して、バンクス議員は「幼い3人の娘を持つ父親として、映画は気分が悪くなるものだ。映画は小児性愛者の餌になるだけでなく、非常に若い女の子が親の意向を無視して、見知らぬ多数の人間と、自身のポルノ画像を共有することを勧めている」「この映画が示すものは、私の娘たちに学んで欲しいものではない。司法省はネットフリックスを『児童ポルノの配信』で告発すべきだ」とコメントした。
トゥルシー・ギャバード(Tulsi Gabbard)議員は「小児性愛者の欲望を向けさせ子どもの売春取引の燃料になりかねない」と指摘した。
8月18日に動画配信サイトYouTubeで公開されたトレイラーは、1カ月でおよそ1300万回再生された。しかし、評価のわずか2%しか「いいね!」を押しておらず、大半の視聴者は映画に対して不快感をあらわにした。「なぜ11歳を女性と呼ぶのか?まだ子どもたちだ。性的なシンボルとして取り扱うなんて」「この映画に子どもを出演させた親はどう思っているのか」など批判的なコメントが相次いだ。
署名サイトChange.orgでは、「『キューティ!』をネットフリックス配信から停止してほしい」という署名運動が、フランスでの8月の先行公開時から始まった。9月19日の時点で40万人が署名している。評価の高いコメントには、この映画はイスラム嫌悪(イスラモフォビア)を助長するものだとみている。「ヒジャブは大衆文化のためのものではない。映画によりイスラム教徒は傷つけられ、いじめられるだろう」とその悲しみをつづっている。
イスラム人口の多いトルコ当局は映画内容を問題視して調査を開始した。映画関係の資料から映画のポスター等を掲載しないよう指示しているという。イスラム圏の著名俳優も、映画へのボイコットを呼びかけている。一時的に、#CancelNetflix(ネットフリックス解約)がトレンド入りした。
(翻訳編集・佐渡道世)