短編動画アプリTikTokを提供する字節跳動(バイトダンス)の社屋、9月16日撮影(GettyImages)

米議員、オラクルとTikTokの提携案に反対 中国官製メディアはソースコード開示を否定

オラクルTikTok(ティックトック)米国事業の提携案について、複数の共和党議員が反対する書簡をトランプ大統領に送った。提携案は米国への安全保障上のリスクに対処できない可能性があると警告している。

議員らは、提携案の精査が不十分だと指摘した。「今回の取引は完全な買収ではない。オラクルはTikTok米国事業のどの役割を担うのか、オラクルは(TikTokの親会社)字節跳動のどの種のサービスを提供するのか、どのアプリケーションの機能を担当するのか、多くの疑問が残っている。

共同書簡に参加している上院議員には、トム・ティリス、ロジャー・ウィッカー、リック・スコット、トム・コットン、ジョン・コーニーン、ジョシュ・ホーリーら6人の議員が含まれる。

マルコ・ルビオ上院議員は、「米企業とTikTokの業務、データ、アルゴリズムは、字節跳動および中国政府のいかなる指示も受けないと保障しなければならない」と警告する。

書簡は、中国の法律は、中国企業に全てのユーザーデータを当局に提供することを義務付けており、アメリカのユーザーも含まれていると強調している。

米トランプ政権は8月14日の大統領署名で、字節跳動に対して、90日以内にTikTok米国事業を売却するよう求めている。また、TikTokの米国ユーザーから取得したすべてのデータの削除を命じている。

書簡は、TikTokの提携案は、この大統領令に反する可能性があるとしている。

中国官製メディア、「TikTokのいかなるソースコードも米企業に渡さない」

いっぽう、中国官製メディアCGTN(中国国際テレビ)は9月14日、情報筋の話として、字節跳動はTikTokの米国事業を売却しないし、同社ソースコードを米国のいかなる企業にも提供しないと報じた。

CGTNは専門家の話として、売却の拒否は、字節跳動の所有するデータ分析や人工知能を使った機能など最先端技術が関係している可能性があると報じた。

「データ、プログラム、プラットフォームのすべての所有権が字節跳動から分離されていないのであれば、悪い契約だ」と、共和党ジョシュ・ホーリー議員は語った。

ルビオ上院議員はまた、ボイス・オブ・アメリカに対して、これらのアプリの危険性はデータだと強調した。「重要なのはその機能ではなくデータだ。中国は知的財産権の窃盗や全体主義的な目的での個人情報の利用を行っている。米国人の個人情報や米企業の所有データに中国が触手を伸ばしているなら、大きな懸念を抱くことだ」と話した。

民主党議員もデータセキュリティの危険性について、共和党ほど強硬ではないものの、懸念を示している。

デカップリング

下院外交委員会の委員を務めるペリー議員は、全ての中国のアプリは同じリスクを抱えており、現在のTikTokに対する米国の扱いは、米中の「経済的なデカップリング」の始まりに過ぎないと言及した。

「問題は共産主義中国であり、これは非常に危険だ」「共産中国に自由市場のデータに手が届くようにしておいてはいけない。中国は自由市場を念頭にしていないし、興味もない。全体主義に興味を持っていて、世界の覇権者になりたがっている。それは許されないことだ」

ペリー議員はまた、中国との経済デカップリングは世界的な中共ウイルス(新型コロナウイルス)の流行を受けて「急務」であると認識したという。

ホーリー議員は、リスクの高い外国のソフトウエアやアプリを制限する法律があれば、再発防止につながると述べた。

ホーリー氏は2019年11月、米国のインターネット利用者のデータが中国など米国の国家安全保障上の脅威となる国に転送されるのを防ぐことを目的とした「国家安全保障・個人データ保護法」の導入を提案した。

ルビオ議員は8月下旬にも、米国市場に参入する外国の高リスク企業を審査する「標準的な枠組み」を確立する法案の作成を検討していると自身のブログに書いている。

(翻訳編集・佐渡道世)

 

関連記事
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]