北京の天安門広場の警備に当たる中国警察(GettyImages)

中国は 「国家制度の拉致」 で毎日20人を失踪させている=人権団体報告

スペイン・マドリード拠点の人権団体「セーフガード保護官(Safeguard Defenders)」は8月30日、人権についての最新報告を発表した。それによると、2020年、中国の共産主義政権によって少なくとも1日に20人が国家の力により失踪させられている。

失踪者たちは、裁判所の命令なしに中国当局によって連行され、秘密の場所に放り込まれ、最長で6カ月以上隔離・拘禁される。拘束施設では弁護士や家族との面会も拒絶され、失踪者たちは拷問を受けることがよくあるという。

この中国共産党による超法規的な制度は、2012年に刑事訴訟法第73条改正により施行された。「指定居所監視居住」と呼ばれ、当局が指定した施設で、中国警察が裁判所令状なしでの監視や拘束活動が許可される。

この法律は2015年以来、人権弁護士や法輪功学習者、ジャーナリスト、非政府組織( NGO)団体、外国人を含む中国の政治犯罪を犯したとして起訴された人々に頻繁に適用されている。よく知られている人物は、クリスチャンの人権弁護士・高智晟氏、現代芸術家・艾未未氏、スウェーデン籍で民主主義に関する書籍を取り扱う書店店主・桂民梅氏など。

最近でも、オーストリア政府は、中国の英語版国営報道機関CGTNキャスターであるオーストラリア国籍の成蕾さんが8月に「指定居所監視居住」で拘束されたと発表した。拘禁の理由は不明で、起訴もされていない。

人権団体・セーフガード保護官は、中国最高裁判所のデータベースに掲載された判決に関するデータから、2013~19年末までに少なくとも2万8000~2万9000人が「指定居所監視居住」に収容されたと推定している。「これは国家による拉致だ」と同団体は声明で述べている。

団体責任者ピーター・ダーリン(Peter Dahlin)氏によると、「もし警察がその気になれば、拘束初日に暴力をふるって骨折させて、6カ月間を治療の名目で拘束し続けるようなこともありうるだろう」と大紀元の取材に答えた。

同団体によると、中国の「指定居所監視居住」に遭った人々へのインタビューでは、相当数の被害者が身体的、心理的拷問を受けたと明らかにしているという。

「拘束施設では、非常に小さな部屋に入室させられ、何カ月も日光を見ることができない。蛍光灯はいつも点灯しており、寝ることが難しい」とダーリン氏は証言者の話を引用した。

同氏は、この「指定居所監視居住」は独房監禁の一形態であるため、15日間以上の拘束は、中国も批准対象である国連拷問等禁止条約による「拷問」にあたると指摘する。

CATHY HE/翻訳編集・佐渡道世)

関連記事
中共による臓器摘出から生還した程佩明さんが真実を告白。暗殺の危機に直面しながらも、真実を語り続ける姿勢に世界が注目し、米国も保護を進める。人権侵害の実態に対する国際社会の連帯が求められている
中国の中南大学湘雅第二病院に勤務していた羅帥宇氏が、不審な死を遂げた。生前の録音から、同病院が臓器移植研究のために子供のドナーを求めていた可能性が浮上。彼の家族は、羅氏が病院告発を計画していたことから口封じされたと主張している。
英製薬大手アストラゼネカは30日、同社の中国代表である王磊さんが中共当局の調査を受けていると発表した。拘束され […]
ドキュメンタリー『正義のハンター』がトロントで上映された。人権弁護士デイビッド・マタス氏の中共による臓器摘出問題の調査活動に焦点を当て、多くの著名人の支持を集めている
「ニューヨーク・タイムズ」は7月22日に、中国の商人肖建華とアリババの創設者馬雲の秘密の商業関係を暴露する二つの深層報道を発表した。