習近平総書記、「中国人が決して承諾しない」を連発 国民と共産党の切り離しに「不安」を露わに

中国共産党習近平総書記は9月3日、抗日戦争勝利記念75周年の座談会で、7月に中国共産党を批判したポンペオ米国務長官の発言を念頭に、「中国国民が絶対に承知しない」と反発した。専門家は、西側諸国が続々と対中政策を転換するなか、中国共産党政権は統治の正当性を失うことに不安を感じているのではと分析した。

習近平氏は「いかなる人も、いかなる勢力も、中国共産党と中国国民を切り離して対立させようとする企てに対して、中国人民は決して承諾しない!」「いかなる人も、いかなる勢力も、中国共産党の歴史を歪曲し、中国共産党の性質と目的をけなそうとする企てに対して、中国人民は決して承諾しない!」「いかなる人も、いかなる勢力も、中国の特色ある社会主義の道を歪曲、改変し、中国人民が社会主義を建設してきた偉大な成果を否定し、貶そうとすることに対して、中国人民は決して承諾しない!」などと強調した。

また、習氏は「いかなる人と勢力も、いじめを通じて、彼らの意志を受け入れるよう中国に強要し、中国の進む方向を変え、中国人民が自分たちの素晴らしい生活を創造する努力を阻害しようとする試みを、中国人民は決して承諾しない!」「いかなる人と勢力も、中国人民の平和な生活と発展の権利を破壊し、中国人民と他国の国民との交流と協力を破壊し、人類の平和と発展という崇高な事業を破壊しようと企てても、中国人民は決して承諾しない!」とした。

大紀元コメンテーター、田雲氏は、「習総書記の発言は、中国共産党が抱く強い恐怖を浮き彫りにした」との認識を示した。これは、「欧米各国による中国共産党への包囲網が一段と強まるという新たな国際情勢の中で、共産党政権を守れなくなるという恐怖だ」

「中国共産党は中国ではない」と公の場で複数回主張したポンペオ米国務長官は7月23日、演説を行い、再び中国共産党を批判した。長官は「中国共産党はいつもうそをついている。彼らが言った最大のうそは、共産党が中国14億人の人民を代表しているということだ。しかし、14億人の中国国民は共産党に監視、抑制されて、発言ができなくなっている」などと述べた。

田雲氏は、習近平氏の「中国人民が決して承諾しない」という主張に大きな矛盾があると指摘した。

「中国共産党政権は、政権樹立以降、いかなる政策においても、中国人民に意見を尋ねたことがない。当局は中国国民を代表していると一方的に吹聴している。しかも、今は中国人だけでなく、外国の政府まで、共産党の命令に従うようにと指図している」

田氏は、「中国共産党は、世界各国が共産党と中国人民を区別することに危機感を抱いている」とした。

中国共産党は、中国人を欺瞞することで政権を奪取した。中国国民全員が共産党の本質を認識し、党に抵抗し始めれば、共産党は統治の正当性を失うことになり、同時に国際社会で傍若無人に振る舞うこともできなくなる。

「だから、共産党は常に14億人の国民を持ち出して、党とつなぎとめる必要がある」と、田氏は示した。

中国の王毅外相は7月28日、「執政党と中国人民の間にある血肉の関係を離間してはならない」と米政府に警告した。さらに、中国官製メディア「央広網」8月27日付によると、外務省の趙立堅報道官は「中国共産党と中国人民の関係は魚水の親で、血と肉のように密接に関係している。中国人民は中国共産党の『鉄の壁』だ。いかなる人もその壁を破ることはできない」と発言した。

中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」では、ネット検閲の下、習総書記の発言について、ネット評論員らによる支持のコメントが溢れていた。その中に、暗に最高指導者に突っ込みを入れるネットユーザーがいる。

「普通の中国人にしてみれば、アメリカ人にいじめられることは少なく、城管(都市管理職員)にいじめられることの方が多いのが事実だ」

「壁(グレート・ファイアウォール)を倒して、中国人ネットユーザーを外の世界に行かせてください。これができれば、はじめて中国のイメージを守ることができるよ」

いっぽう、海外ツイッター上では、中国人ネットユーザーは直接、「百も承知だ!」「私を代表して発言するな」「中国人民はそんなことを言っていません!」などと習氏の発言に反発した。

(翻訳編集・張哲)

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