2019年12月26日、台湾海峡を通過した中国国産空母「山東」(AFP via Getty Images)

中国軍、米偵察機を避け内海で軍事演習、国産空母「山東」が参加

中国当局はこのほど、新たな海上軍事演習を実施すると発表した。今回は内海海域の渤海黄海で実施される。黄海では実弾を使った演習が行われるほか、渤海での軍事演習には中国初の国産空母山東」が参加する。中国当局は、実際の軍事力が米偵察機に把握されないよう、内海での実施を決定したとみられる。

中国の海事当局と連雲港海事局は9月1日、2~4日の午前8時から午後19時まで、中国軍が黄海の南部海域で実弾演習を実施するため、同海域を船舶の航行禁止区域に指定した。

遼寧省海事局は8月31日、9月1日午前8時~22日午前8時まで、中国軍が渤海海域で「軍事任務」を執行するため、船舶の立ち入りを禁止すると通達した。

中国メディア「観察者網」の報道によると、1日午前、空母「山東」は、遼寧省にある大連造船所から出発し、渤海に向かった。今回の演習では、空母山東と艦載機の融合訓練が行われる予定だ。出港の際、空母の飛行甲板には、艦上戦闘機・殲15と中型輸送ヘリコプター・直18の模型があった。

渤海は中国北部に位置し、遼東半島と山東半島の間にある海域だ。黄海は中国大陸と朝鮮半島の間に位置する内海。渤海の南と東シナ海の北に位置する。山東省、江蘇省、上海市は黄海に面している。

中国軍は前回、渤海、黄海、東シナ海と南シナ海の4つの海域で軍事演習を行った。米軍は各種の偵察機を中国領海付近に派遣し、中国軍をけん制した。

大紀元コメンテーターの李林一氏は、「中国軍が軍事力と国産空母の実力を米側に把握されないよう、内海で軍事演習を実施すると決めたのでは」と述べた。特に、広い南シナ海などではなく、狭い渤海での演習実施は「艦隊と戦闘機隊の連携がなめらかではないことを反映した。軍当局は訓練中に事故が起こる可能性を警戒しているのでは」と指摘した。

中国人学者の薛馳氏は、中国軍の内海海域での軍事演習は、「家の玄関での防衛的な訓練に過ぎない」と指摘した。同氏によると、中国当局が軍改革を行った後、海軍は「遠海防衛」を戦略に掲げた。しかし「実際に、遠海で米軍との間で軍事衝突が起これば、打ち負かされるだろう。だから、遠い海域に行く勇気がない」

薛氏は、中国軍が現在、「軍事演習の悪循環に陥っている」とした。今年に入ってから、中国軍が台湾海峡、南シナ海、東シナ海など、中国の周辺地域で頻繁に軍事演習を行っているため、米軍はこれらの地域で軍事力を強化した。中国当局は、米側のけん制を挑発だと非難しながら、米軍に対抗して軍事演習の回数を増やしている。

香港メディア「香港01」8月24日付は、中国軍が7月下旬~8月下旬までの約1カ月に、少なくとも9回の軍事演習または軍事訓練を行ったと報じた。

中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報英語電子版は8月31日、渤海海域が「通常、潜水艦発射弾道ミサイルSLBM)の試験発射に使われている」とし、当局が今後、渤海で「新世代SLBMの試験発射の可能性があり、対米の戦略的抑止力を行使する意図がある」と軍事専門家の話を引用して報じた。

米政府は8月26日、中国軍が中国本土から南シナ海に向けて中距離弾道ミサイル4発を発射したと明らかにした。

(翻訳編集・張哲)

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