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オーストラリアの「海に浮かぶマングローブの森」 157年の時を経て神秘的な姿へと変貌を遂げた難破船

オーストラリア北東部にあるマグネティック島。英国の探検家、ジェームズ・クックがこの島の側を航行したとき、強い磁力により船のコンパスが狂ったことからこの名で呼ばれるようになりました。この島の沖合に、座礁したまま放置された難破船があります。この難破船は長い時間をかけて神秘的な変貌を遂げ、今や新たな観光スポットとして話題を集めています。

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港に停泊しているSSシティオブアデレード号。1915撮影 (Wikipedia)

この難破船、SSシティオブアデレード号の物語は、1863年に始まります。

My Modern Met(世界中のアートやクリエイターを紹介するサイト)によると、英スコットランド・グラスゴーで建造されたこの蒸気船は1863年にグラスゴーを出港、主にオーストラリアのシドニー、メルボルンとハワイのホノルルを結ぶ客船として運航されました。その30年後に大型帆船に改造され、石炭や物資を運ぶ輸送船として使われるようになりました。しかし1912年、船は火災に見舞われ数日間にわたり延焼し続け、壊滅的な損傷を負ってしまいました。

 

SSシティオブアデレード号が座礁した位置(Screenshot/Google Maps)
(Roadwarrior Photography/Shutterstock)

火災の3年後、船の残骸はマグネティック島在住のジョージ・バトラー氏により購入され、同島ピクニック湾の堤防として使われることになりました。しかし、牽引して船を移動させる最中に同島コックル湾で座礁、そのまま放置されてしまいました。

この船の不運はこれで終わりではありません。

第2次世界大戦中には演習中の爆撃機が船のマストに接触、オーストラリア空軍兵3名とアメリカ海軍兵1名が命を落としました。

1970年代には竜巻により船の胴体の一部が完全に崩れてしまいました。

 

(Roadwarrior Photography/Shutterstock)

 

(Reece Fraser/Shutterstock)

こうして船の上部は何百年も風雨にさらされ、海底に沈んだ部分には長い年月をかけて泥がたまっていきました。そして、ここ数十年で植物が自生するようになり、船の残骸は現在のような「マングローブ」へと姿を変えていったのです。

あるReddit(海外で人気の投稿型サイト)ユーザーの投稿が、その変化を物語っています。

「今から20年前、子どもの頃に周辺をよく散歩したが、船には小さなマングローブがほんの数本しか生えていなかったのを記憶している。今や船体は風化してバラバラになり、たくさんのマングローブが自生するようになった」

このユーザーによると、難破船の海域一帯はオーストラリア海洋公園に指定されているため商業的な釣りや底引き網漁も禁止されているそうです。

マグネティック島周辺に横たわる難破船はSSシティオブアデレード号だけではありません。その難破船1つ1つが神秘的な魅力を放ち、「磁石」のように多くの旅行者を引き付けています。

(大紀元日本ウェブ編集部)

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