江西省、保守主義の代表書籍を撤去『フランス革命の省察』など

江西省出版社は最近、『フランス革命の省察』など保守主義の代表的書籍の翻訳シリーズを、全ネットでの販売を中止するよう通告した。

 

ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、江西省人民出版社は8月7日、シリーズの単行本とセットの全ネット販売停止の通知を出した。すべての代理店、プラットフォーム、店舗にオンラインから削除を求め、残った書籍は出版社に返却するよう要求したという。

 

このシリーズは、江西人民出版社によって出版・発行されたもので、『フランス革命の省察』のほか、『自由・平等・博愛』『私たちの敵である国家』『保守主義の精神』など8冊から成る。

 

中国の大手総合ECサイト「京東商城(JD.com)」「当当網」などのオンライン書店に検索をかけてみると、関連書籍がすべて品切れになっていた。また、同書出版社の北京の提携先のオンラインストアでも在庫切れとなっている。

 

一方、一部の地方の図書館では、中国共産党のマルクス主義思想に反する書籍を撤去する動きも出てきているとの報告もある。

 

中国当局は11日、ハルビン出版社の『世界をまわろうー子どものための世界史』、貴州教育出版社の『ヒリアーズの話す世界史』の本を撤去した。それら本の中では「『黒死病(ペスト)』の発生源が中国だ」と言及したからだ。また、当局は関係する出版社に「訂正」を命じたという。

 

ドイツの「欧華導報」銭躍君編集長は、「本を撤去した出版社らは当局の指示を受けた」との見解を示した。

 

同氏はこの動きを、「1933年にドイツのナチスが行った書物の焼却および禁止事件に似ている」とし、「内憂外患の中国共産党が、民衆の独立思考能力を啓発する西洋書を恐れ、封殺している」と述べた。

 

2010年のノーベル文学賞を受賞したペルーの作家、マリオ・バルガス・リョサ(Mario Vargas Llosa)氏が今年の3月、「中国からのウイルスがスペインでパニックを引き起こした」「当局による真相の隠ぺいがウイルスを蔓延させた」と中国の独裁政権を批判した後、中国当局は報復措置として同氏の本を全て撤去させた。

 

皮肉にも、今回の撤去対象となった『フランス革命の省察』は、習近平氏が2014年、パリで開かれた「中仏国交樹立50周年記念大会」のスピーチで、推薦した本だった。

 

習氏は当時、「フランスの近現代史、特に『フランス革命の省察』を読むことで、人間社会政治の進化論理に対する私の考えを豊かにした」と発言した。

 

王岐山国家副主席も2012年、反腐敗をテーマとする座談会で、1789年のフランス革命を振り返る『旧制度と大革命』(著者:L’Ancien Régime et la Révolution)という本を推薦した。また同書は、李克強首相の「枕本」とも言われている。

 

(大紀元日本ウェブ編集部)

関連記事
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]