10日、突然逮捕された香港民主紙の創業者、黎智英(ジミー・ライ)氏(VERNON YUEN/AFP via Getty Images)

香港メディア王の逮捕で同社株価3倍超上昇 市民らが株購入で支援

中国に批判的な香港紙、ネクスト・デジタル社(蘋果日報、アップル・デーリー)創始者である黎智英ジミー・ライ)氏の突然の逮捕で8月10日午前、同社株価は一時17%下落したが、投資家や市民らの大量購入で、午後一転して344%上昇した。

10日に香港警察に逮捕されたのは黎氏のほか、同氏の息子2人とネクスト・デジタル社の4人の最高責任者ら計10人で、国安法違反、外国勢力と結託し国家の安全に危害を加えたなどの疑いが持たれている。また、警察当局は同社オフィスビルを約200人態勢で家宅捜索した。

黎氏を支持する香港人は同社株を爆買い

この事件は大きな社会的反響を引き起こし、香港市民が、黎氏への支持を示すために株の購入を呼びかけた。

「僕は両手無一文で香港に来ました。今日の自分があるのは香港の自由のおかげで、今はたとえ命を落としても恩返しをしなければいけない時です」かつてそう語った黎氏への香港市民の支援は株式市場にも反映された。

同社の株価は当初、17%近く下落したが、その後344%反発し、香港株式で最大の増加となり、最終的には183%高で取引を終えた。売上高は3億9400万元で、2000年の上場以来、最大の売上高となった。

香港情報技術商会の名誉会長である方保侨氏は、自身のフェイスブック上で「同社株を購入した」と述べた。

方氏は、「同社株を売却する予定はない。喜んで10年間の購読料は支払う」と営利目的ではないことを明かした。

金融コラムニストの渾水氏はソーシャルメディア上で、同社株122万を購入した際のスクリーンショットを投稿した。同氏は「ネクスト・デジタル社株式の一部を売却し、その収益を奨学金の形で中・高学生に寄付する」と述べた。

暴政と戦う 蘋果日報

蘋果日報は先月、毎日7万部以上を印刷し、うち6万部以上は販売したが、11日は35万部印刷すると発表した。

同社は黎氏らの逮捕を受け、「脅迫の手段を用いて、報道の自由を侵害し白色恐怖を生み出そうとしている」と警察当局を強く非難する声明を出した。

さらに、このような違法で理不尽な蛮行に直面してもなお、蘋果日報は「何も恐れず、圧力に負けずに真実を語り続ける」という。

香港ジャーナリスト協会の主席である楊健興氏は、自ら蘋果日報オフィスビルに赴き、警察の家宅捜索を見守った。同氏は、記者の所持品捜索など、自身の数十年に及ぶメディア業界での経験でも、こんな大規模な捜索は恐ろしく、見たことがないと評した。

「メディアへの弾圧は、第三世界の国では起こりうるかもしれないが、まさか香港で現実になったとは、非常に悲しいことです」と心境をつづった。

香港ジャーナリスト協会、香港写真家協会、独立評論家協会などの団体が共同で声明を発表し、「警察が報道機関を捜査するには公共利益の優先という必要性がなければいけないことから、今回の大捜査における目的と法的根拠を説明するよう」要求した。

(大紀元日本ウェブ編集部)

関連記事
日本では、移民は基本的に労働力として扱われ、本来の意味での移民政策が存在しないとも言われている。どういうことなのか?
「孔子学院?新華社?こんなものはもう退屈だろう。中国が本当に世界的なソフトパワー拡大には、モバイルゲームに焦点を当てるべきだ」中国国内メディアは最近、100億米ドル規模に達している中国ゲームの影響力の高まりに自信を見せている。当局は、ゲームコンテンツを通じて中国文化の浸透工作や、親共産主義人物の人気獲得を促進したりしている。
日本料理の「五味五色」が生む健康の秘密。陰陽五行に基づく養生観が、日本人の長寿とバランスの取れた食文化を支えています。
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。