中国資本支援の「世界最長の海底トンネル建設計画」断念へ=エストニア

エストニア政府はこのほど、中国資本の支援を受けた、フィンランドの首都ヘルシンキとエストニアの首都タリンを結ぶ「世界最長海底トンネル建設計画」を却下する見通しだ。

エストニアのアーブ行政大臣はメディアに対して、「160億ユーロ(約1兆9961億円)もかかる巨額な建設費用の出所が不明瞭な上に、経済的、環境的、安全上の懸念が解消されていない。利用者数および貨物量の予測などについても不安が残っている」と理由を述べた。

「話し合いを重ねてきたが、われわれの懸念解消には至らなかった。あらゆる点で国益に反する同プロジェクトを中止するよう政府に助言する」と付け加えた。

2018年に行われたトンネル実現のための可能性調査によると、「2050年までに年間1250万人の乗客と400万トンの貨物の輸送が可能だ」という。プロジェクトの建設費用が高いため、費用便益比はわずか0.45だった。

エストニア政府は昨年8月から、同計画を疑問視していた。同国のタービ・アズ経済インフラ大臣はメディアに対して、「開発企業はいまだに利用者数をどのように算出したのかを説明できていない」と不信感をあらわにした。

このプロジェクトは中国資本や中国企業からの支援を受けている。フィンランド・エストニア・ベイエリア開発会社( Finest Bay Area Development)は昨年、中国のタッチストーン・キャピタル(Touchstone Capital Partners)から150億ユーロ(約1兆8714億円)の建設資金を調達した。また、中国鉄道国際グループ、その親会社である中国鉄道、中国交通建設からも支援を受けている。  

アーブ行政大臣は、「エストニアとフィンランドの公的機関が支援する別のトンネルプロジェクトに賛成している。 国境を越えたトンネルの設置は、両国の共同事業とその共通の意志があってこそ可能になる」と述べた。

(大紀元日本ウェブ編集部)

 

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