中国の李克強首相は7月23日、各地方政府に対して倹約するよう求めた(WANG ZHAO/AFP/Getty Images)

李首相、財政難で地方政府に「倹約生活」を要求

中国の李克強首相は7月23日、国務院(内閣に相当)の会議で、地方政府に対して、財政難に耐え倹約するよう再び指示した。中国当局が財政的・経済的に苦境に陥っている現状を浮き彫りにした。

李首相は今年5月に行った政府活動報告において、「過緊日子(耐乏生活をする)」との表現を使った。首相は、「今年、中央政府は緊急ではない、または必要ではない支出を50%以上減らし、地方政府も予算を削減しなければならない」と述べた。

首相は5月と同様に「耐乏生活をする」と述べたうえ、「経済の下振れと財政難」の現状に言及した。同氏は、各レベルの地方幹部に対して、「倹約を習慣にするように」と要求した。

中国国営新華社通信などの各メディアも7月中旬、「財布の紐を締めよう」などと宣伝し始めた。

今年、各レベルの地方政府の財政収入は大幅に減少している。中国当局の公表によると、上半期において、中央政府の公共予算の収入は前年比で14%減少し、地方の一般公共予算の収入は同7.9%減少した。全国の税収と非税収は前年比で、それぞれ11.3%と8%減少した。

中国メディア「21世紀経済報道」によれば、7月23日までに国内24の省が財政収入を発表した。そのうち20省は、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染拡大で、上半期の財政収入が前年比でマイナスとなった。輸出産業が盛んな広東省、江蘇省、浙江省はそれぞれマイナス5.8%、マイナス2.8%、マイナス2.6%となった。最大の経済都市上海市と政治中枢の北京市の上半期の財政収入は前年比で、それぞれマイナス12.2%とマイナス11%。

また、中共ウイルスの発生源である湖北省の財政収入の下げ幅は38%超。下げ幅としては各省の中で最も大きい。

中国当局は各地方政府に「倹約」を呼びかける一方で、国民を監視し各地の住民の抗議活動を鎮圧する「社会安定維持費」の確保を要求している。

大紀元はこのほど、河北省保定市政府が今年5月20日、市管轄の各区政府に送った内部文書を独自に入手した。文書は、「警察機関の公費を十分に保障するように」「県レベルの警察機関であれば、各地の派出所に優先的に公費を支給すること。2020年、1級地区では(警官)一人当たり5万元(約76万円)、2級地区は一人当たり4万元(約60万円)、3級地区は一人当たり3万元(約45万円)を支給する」などと明記している。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
ゴールドマン・サックスのCEOは資金が中国にいったん資金が入ると、それを送金するのは非常に難しいと述べた。中国経済の減速とそれに伴う厳しい規制が、主な原因とされている。
11月、中国の主要都市である北京と上海の社会消費品小売総額は前年同月比でそれぞれ-14.1%と-13.5%に急減。10月の増加から一転して大幅な減少となり、1-11月累計でも全国平均を下回る低迷が続いている。収入減少や人口流動など複合的要因が影響。
中国の資本市場から11月に457億ドルの資金が流出し、過去最大を記録。トランプ氏の関税政策への懸念と中国経済の不安定さが主因。中国政府の景気刺激策は市場の期待に応えられず、人民元も下落。習近平は窮地に陥っている
日産とホンダの経営統合に向けた動きが急速に進展している。日産、ホンダはまだ中国市場での挽回を期するのか? それとも大局を読み切り、大きな決断をするのか? 今後の動向が注目される。 
イエレン財務長官は、ロシアの石油収入遮断と「黒い艦隊」制裁を検討。さらに、中国の銀行や企業への制裁も可能性を排除せず、既に影響を受けた中国企業が資産売却を進めている。制裁強化が進む中、国際経済に緊張が高まる。