中国の李克強首相は、北京で開かれた対外貿易会議で、対外貿易は厳しい状況にあり、中小零細企業を保護しなければならないと述べた(GettyImages)

従来型の対外貿易商、90%が消える可能性=アリババ幹部が発言

中国の李克強首相は6月28日、北京で開かれた対外貿易会議で、対外貿易は厳しい状況にあり、中小零細企業を保護しなければならないと述べた。いっぽう貿易業関係者は、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の影響で、対外貿易企業の90%が倒産するとみている。

李首相は会議で、将来の対外貿易環境のために準備が必要であるとし、雇用、暮らし、市場に応じて企業を支援する政策を実施するとした。内需を積極的に拡大しながら、対外貿易と対外投資を安定化させるための新たな措置を検討し、導入するとした。

中国国務院はこのほど、輸出製品の国内市場進出を支援する政策を発表した。製品認証と企業税務手続きを簡素化し、各種金融機関に輸出製品の国内販売への金融支援を奨励するなどがある。

6月29日、官製メディアの中国新聞網が報じたところによると、国際展示会である「広東フェア」が初めてオンラインで開催され、「ネット展示会」となった。国内外から2万6000社近くの出展者が集まった。

しかし、公式メディアは受注数や受注金額を発表しなかった。米華字メディア「看中国」の記者は、広東フェアに問い合わせたが、数字の公表はなかった。

香港経済日報は、外資系企業が苦境に立たされていることを反映しているとみており、一定の水準まで回復するには長い時間がかかると伝えた。

6月29日のロイター通信によると、中国当局は海外のサプライヤーに対して「ウイルスが付着していない」との証明を要求しているため、一部の米国の農作物貿易商は中国輸入を断念していると伝えた。米農業関係者は、こうした中国の過剰な動きは、時代遅れで非科学的であり、貿易の障壁を作っていると批判した。

中共ウイルスの感染拡大の影響で、中国の対外貿易産業は再編され、一部の外国からの注文はなくなった。ほかの注文は、電子商取引に切り替えられた。従来の対外貿易企業は、存続の危機に直面している。

 

電子商取引大手アリババの国際ステーション担当の張闊総経理は、中国メディア第一財経に対して、今日の状況では、オンラインを除いた、従来の対外貿易モデルの企業は「90%が消える可能性がある」と述べた。

「このような単一ソースの対外貿易ビジネスは衰退している。多くの生産と販売ルートが停止し、中小企業は活路を断たれた。物流、支払い、為替、税還付などのサービスもパンデミックの影響で滞っている。小規模な貨物輸送業者のいくつかも倒産し、航空輸送も危機的である」

張総経理は、対外貿易の商品が国内販売にシフトするかとの質問には否定的な見方を示した。「国内市場は確かに巨大だが、競争はより厳しくなる」とした。「パンデミックは短期的には終息するかもしれないが、分断された世界の取引システムが完全に元に戻ることは期待できない」と消極的だった。

現在、中国国有企業の対外貿易では、倒産のリスクが大きいものの、政府からの補助金で生き延びている。しかし、補助金のない民間企業は経営維持が困難になっている。

中国国務院は対外貿易会社の国内販売へのシフトを支援する方針を打ち出した。「看中国」のコメンテーター唐新元氏は、海外向け商品の規格が国内のと異なるため、国内で販売できない可能性が高いとその効果に疑問を呈した。

また、多くの対外貿易企業は輸出増値税還付から利益を得ているため、国内販売にシフトすると、この部分の収入がなくなり、経営が困難になる。

(翻訳編集・佐渡道世)

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