サッカー元中国代表、「共産党を滅ぼそう」と宣言 当局が情報統制

中国当局が民主化を求める学生らを武力で鎮圧した天安門事件から31周年となった6月4日、サッカー元中国代表郝海東(かく・かいとう)氏はインターネット上で、「中国共産党を滅ぼそう」と呼びかけた。著名人の反体制言論を受けて、中国当局は情報統制をしいた。

北京時間6月4日、米国に亡命中の中国人富豪、郭文貴氏と元ホワイトハウス顧問のスティーブ・バノン氏はインターネット上で動画をライブ配信し、「新中国連邦」の成立を宣言した。バノン氏が宣言の英語版を読み上げた。これに参加した郝氏(50)は中国語版の宣言を朗読し、建国綱領を述べた。

郝氏は「中国共産党の殲滅(せんめつ)は正義のためである。中国共産党は、コミンテルンの資金支援を受けて中国で合法的な政府を転覆させたテロ組織だ。中国での全体主義的統治は、反人類の暴挙となった」などと述べ、非難した。

同氏は1986年に、中国軍によって結成されたサッカーチーム、八一足球隊に入団し、プロ・サッカー選手として活躍した。1992~2004年まで中国代表として通算115試合41得点で歴代最多得点者だ。ポジションはフォワード(FW)。2007年に現役引退した。

4日、同日、郝氏と妻の葉釗頴(よう しょうえい)氏が、YouTubeで配信されている中国時事番組チャンネル「路徳社」に出演し、「これ以上、中国共産党に圧迫されてはいけないと中国の人民に伝えたい」と再び中国共産党を崩壊させるよう呼びかけた。葉氏は、バドミントンの元中国代表で、シドニー五輪の銅メダリストだ。

郝氏の反共産党言論を受けて、中国当局は国内で情報統制を行った。「郝海東」はネット検閲対象のワードとなったほか、数百万人のフォロワーを持つ同氏のSNS微博アカウントが閉鎖された。ネット掲示板プラットフォーム「百度貼吧」では、郝氏に関する掲示板、「郝海東吧」へのアクセスも遮断された。

一方、中国紙・体壇周報は4日、微博に投稿し、「元サッカー選手のH氏が政権転覆や国家主権侵害の言論を行った」とし、郝氏(郝の中国語ピンイン発音はhǎo)を暗に批判した。同紙は、今後「H氏」についての報道を一切行わないと強調した。

郝海東氏はこれまで、微博で中国サッカー界における腐敗や、中国の政治体制や文化大革命を批判する投稿を行ってきた。中国湖北省武漢市で発生した中共肺炎(新型コロナウイルス感染症)を警告し、当局から訓戒処分を受けた李文亮医師などへの支持を示した。

(翻訳編集・張哲)

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