英格安航空イージー・ジェット、900万人分の顧客情報が流出したと発表した。中国ハッカー集団の関与が疑われる。写真は3月、マンチェスター空港に待機するイージー・ジェットの旅客機(Getty Images)

英格安航空、900万人分の顧客情報が流出 中国ハッカー集団か

英国の格安航空会社イージー・ジェットは5月20日、2200人以上の顧客のクレジットカード情報を含む900万人分の電子メールアドレスと旅行情報が流出したと発表した。同社は、英国のデータ監視機関である情報長官室(ICO)および国立サイバーセキュリティセンターに調査を依頼した。報道によれば、ハッキング手法から中国ハッカーによるものと見られる。

ハッキングは1月に発生した。イージー・ジェットはこの事案の詳細をロンドン証券取引所に公開した。攻撃は「非常に洗練されたハッキング」だという。同社は、データが犯罪者によって悪用されたという証拠はこれまでに見つかっていないと強調した。

ロイター通信によれば、この攻撃は最近、多数の航空会社を目標にしている複数の中国ハッカー集団によるものとみられる。

イージー・ジェットは4月初旬、クレジットカード情報にハッキング履歴のあった顧客に通知し、パスワードの変更など情報セキュリティの管理を促している。以降、同社は、カード情報以外で不審アクセスのあった900万人の顧客に連絡を取っているという。

中共ウイルス(新型コロナウイルス)の影響で、イージー・ジェットは4月、数千人のスタッフを解雇した。また、英政府が支援する融資プログラムで6億ポンドを借り入れている。

世界がウイルス対応に追われる中、中国のサイバースパイ活動は世界的に急増している。米サイバーセキュリティ会社ファイア・アイは3月25日、中国のハッカー集団の仕業とみられるサイバー攻撃によるスパイ行為が1月下旬以降、急増していると指摘する報告書を発表した。1月下旬は中共ウイルスの感染が世界に広がり始めた時期に当たる。

専門家は、中国のサイバー攻撃は、外国政府や企業から大量のデータを盗むことだと指摘している。「攻撃はすべて同じ目的(情報窃盗)がある」と、米元外交官で中国のスパイ活動に詳しいマシュー・ブラジル氏はニューヨーク・タイムズの取材に答えている。

中国ハッカー集団との関与が疑われる中国政府と軍は、世界中の機密を窃盗するいかなるサイバー攻撃にも関与していないと主張し続けている。

米連邦捜査局(FBI)と国土安全保障省(DHS)は5月14日、共同の声明で、米国のヘルスケア、製薬、ワクチン開発に関する研究機関を標的にした中国ハッカーによる情報窃盗や攻撃が強まっているとして、中国側を非難した。声明には「中国の行動は、COVID-19(中共ウイルス感染症)に対する我が国の対応に重大な脅威をもたらす」としている。  

(翻訳編集・佐渡道世)

関連記事
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]