中国が「英国の宝石」を奪うのを手伝ったのは英国権力者=報道(GettyImages)

英議会、中国企業のロビー活動を調査 政治家や政府高官など=報道

イギリス議会は、中国企業のために「ロビー活動」を行い利益を得ている同国の政治家、コンサルタント、メディア記者を調査する動きが出ている。中国企業による英半導体大手イマジネーション・テクノロジーズの買収未遂で、中国当局の浸透の深さが明らかになった。

英議員「一部の英国政治家は中国企業のために働いている」

英国では4月中旬、英大手半導体メーカーのイマジネーション・テクノロジーズの取締役に、中国国有企業から来る4人が就任する予定だと報道された。英国の国会議員らは、同社の支配権変更が国家安全保障への潜在的な脅威だとして、英政府の介入を求めていた。

英国最高峰の同社の技術は、人工知能(AI)やデータ高速通信などあらゆるハイテクに必要な技術を所有する。しかし、2017年に、中国国有企業が管理するプライベート・エクイティ・ファンドであるキャニオン・ブリッジに買収された。

この問題は英議会が取り上げた。議員たちは、パンデミックに見舞われるなか、中国の活動を許した英政治家や権力者の調査を始めるとした。

4月18日のサンデー・メールによると、下院外交問題特別委員会トム・トゥゲンドハット(Tom Tugendhat)委員長は、中国共産党に従うかのような行動を取った者は、厳しい調査を受けるだろうと警告した。

元英高官が中国による「宝石奪取」を支援

イマジネーションは、米アップルや韓国サムスンなどの画像処理装置グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)を製造し、英国で最も重要なハイテク企業の1つ。 同社技術を使用した製品は世界の携帯電話の3割、自動車用GPUの4割に搭載されている。アウディ、トヨタ、ヒュンダイなどの自動車メーカーも採用している。同社によれば、世界中の何十億人もの人々が、イマジネーションの知的財産を含むさまざまな製品を使用している。

先駆の技術力を誇り「英国の宝石」とまで謳われた技術大手イマジネーション・テクノロジーズを買収したキャニオン・ブリッジは、中国国有企業、国新ホールンディング(China Reform Holdings、中国国新)が出資している。また、キャニオン・ブリッジの共同創業者には英国の労働党政権時代の高官ピーター・マンデルソン(Peter Mandelson)氏がいる。

マンデルソン氏は、労働党政権のブレア元首相とブラウン元首相の時代に内閣官房長官、商務長官、国務長官などを歴任した。

2008年9月、メラミン汚染の粉ミルク疑惑で、当時の欧州連合(EU)貿易委員だったマンデルソン氏は訪中した際、中国政府高官の前で中国産のヨーグルトを飲み干した。この姿は中国公式メディアが生中継した。数日後、秘書を通じてマンデルソン氏が腎臓結石で入院したと公表された。

また、サンデー・メールによれば、中国共産党と密接な関係にある華為技術の英国での活動も、英国の元政府高官によって「支援されていた」と指摘した。

2010~15年まで英国外務省の常任秘書官を務めたサイモン・フレイザー(Sir Simon Fraser)氏は、2015年に退官後に設立したフリント・グローバル(Flint Global)社で、華為技術(ファーウェイ、Huawei)の英国子会社に対して、英市場占有率を高めるための「戦略的アドバイス」を行うことで報酬を得ていた。

フレイザー氏は内務省に在任中、2015年に中国の習近平国家主席が訪英した際に広く使われた、英中関係の「黄金時代」という言葉を生みだし、宣伝した。 現在、英政府関係者や議会では、英国が中国共産党との緊密な関係を築くのは誤りだったとの見方が多数派を占める。

華為技術は長い時間をかけて英国に浸透し、政治や経済のアドバイザーやロビイストに数百万ポンドを渡して、人脈を築いてきた。華為技術の顧問兼ロビイストネットワークの代表は、英政府の元内務大臣アンバー・ラッド氏の実弟ローランド・ラッド(Roland Rudd)氏だ。 このネットワークには、実業家、英政府元職員、政府系シンクタンク顧問、記者、ジャーナリストなどが含まれる。

例えば、英通信大手ブリティッシュ・テレコム(BT)の前代表取締役会長マイケル・レイク(Sir Michael Rake)氏は最近、華為技術の取締役に就任した。 BTは華為技術が英国市場に参入する2001年から、パートナー契約を結んでいる。レイク卿はまた、世界的な外交や安全保障問題で権威あるシンクタンク・王立国際問題研究所の上級顧問でもある

ほかにも、華為技術の取締役会には、エネルギー会社BP社の元最高経営責任者ジョン・ブラウン(Lord Browne of Madingley)氏、実業家で慈善家ケネス・オリザ(Sir Kenneth Olisa)氏、外国直接投資を誘致する政府部門である英国貿易投資庁の元最高責任者アンドリュー・カーン(Sir Andrew Cahn)卿、国際的なメディア企業であるUBM前会長ヘレン・アレクサンダー(Helen Anne Alexander、故人)氏など複数の英国の資本家や経済界の重鎮が名を連ねていた。

(翻訳編集・佐渡道世)

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