【紀元曙光】2020年4月20日

40年ほど前、セルバンテスの長編『ドン・キホーテ』の岩波文庫6冊に挑戦したが、風車にはねかえされるように、途中で挫折した。

▼読んでいて筋が分からなくなり、半分も行かないうちに放り出してしまった。ただ、物語の根幹の部分は、筆者のその後の人生のなかで、不思議と飲み込めたように思う。

▼騎士道物語に耽溺するあまり、気がおかしくなった老人がいた。自身を、3世紀前の遍歴の騎士ドン・キホーテであると思い込み、従僕サンチョ・パンサとともに冒険の旅に出る。彼方に見えた粉挽きの風車を巨人と見て挑みかかり、あえなく跳ね飛ばされる。

▼何でこんな話で進んでいくのかと、いつしか考えさせられている。人々に嘲笑される騎士の狂気のなかにこそ真実があり、作られた事実のほうが虚偽であるという、大きな逆転構造になっていることに、読者は引き込まれているのだ。

▼命の危険は覚悟の上で、赤い鉄壁にぶち当たっていく人々がいる。すでに市民ジャーナリストの何人が消息不明になっていることか。それも承知の上で湖北省政府を提訴したのは、同省宜昌市の譚軍さん。ごく普通の市民であり、児童公園管理処に勤務する公務員である。

中共ウイルスについて「省政府が感染情報を隠蔽したため、被害を拡大させた」として、行政の責任を問うた。今の中国は法の上に「党」がある。そんな奇形国家で、法の正義が通るはずもない。譚軍さんは、たとえ命が絶たれても、精神の「かたち」となって天下へ呼びかけようとしている。「いざ、我に続け」。この壮絶なドン・キホーテを、誰が笑えるか。

関連記事
中国古典舞踊の最高峰・神韻芸術団は20日に来日。待望の2025年神韻世界巡回ツアーが23日に日本の名古屋で開幕する。
肩の柔軟性と筋力を高める6つのエクササイズを実践すれば、可動域を改善し、肩こりや日常の不快感を和らげる効果が期待できます。
白キクラゲやレンコンをはじめ、免疫力を高める10の食材を紹介。伝統医学と現代科学が推奨する抗炎症効果で、肺を潤し冬を快適に過ごす方法を提案します。
新たな研究により、男性における自閉症の発症リスク上昇には、Y染色体が関与している可能性が示されました。男性では自閉症が女性より約4倍多く見られる一因として、Y染色体が自閉症リスクを特異的に高めていることが明らかになっています。
朝食のタイミングを調整することで、2型糖尿病の血糖値管理が改善する可能性があることが新しい研究で明らかに。運動と食事のタイミングが血糖値に与える影響を探ります。