消息不明の艾芬医師、動画で無事報告するも「表情が不自然」との指摘

消息不明になったと報道された武漢市の女性医師、艾芬(ガイフン)氏は4月13日、中国SNS上で動画を更新し、無事であることを報告した。しかし、ネットユーザーらは、動画の中で、艾医師の様子と話しの内容が不自然だと指摘し、中国当局の監視下に置かれているのではないかと指摘した。

動画の中で、3月末から姿を見せなかった艾医師は、白衣を着て、マスクを着けて、勤務先の武漢市中心医院の救急治療室の前に立ち、やつれた様子で「皆さん、安心してください。私は元気です。ありがとうございます」と話した。

同動画は海外のツイッターにも転載された。ネットユーザーは「(中国当局に)消されていないのがわかって、ほっとした」「安全に気を付けて」などとコメントを投稿した。

また、一部のネットユーザーは、33秒間の動画の中で、艾医師が「31回もまばたきをした」「不安な目つきをしていて、リラックスしている感じが全くない。不自然だ」「任務を終わらせようという感じがする」「台本を読んでいるみたいだ」と指摘した。

 

中国誌「人物」は3月10日、艾芬氏のインタビュー記事を公開した。艾氏によると、昨年12月30日に、武漢市で発生した原因不明の肺炎について、「重症急性呼吸器症候群(SARS)」のコロナウイルスによる感染症だと同僚に警告した。その後、艾医師は武漢市中心医院側から「最も厳しい叱責」を受け、口止めされたという。

同記事は3月10日の内にネット上から削除され、「人物」誌も書店から消えた。

国際社会は、艾医師が消息不明になったことに注目した。豪テレビ放送局「ナイン・ネットワーク」は3月29日、各国メディアの中で最初に、艾医師が消息不明になったと報道した。米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)4月13日付は、国境なき記者団(RSF)が中国当局に対して、艾医師の近況を明らかにするよう求めたと報じた。

米政府と世論は、中共ウイルス新型コロナウイルス)のまん延をめぐる中国当局の初動対応の遅れについて批判を強めている。中国外務省の華春瑩報道官は4月9日、ツイッターでコメントを発表し、米高官らに対して「いつでも中国を訪問するのを歓迎する。(中国の)町で誰とでも話しができ、自由を楽しもう」と書き込んだ。

米連邦通信委員会(FCC)のブレンダン・カー(Brendan Carr)委員は、華氏の投稿に反発した。カー氏はツイッターで、「中国の感染実態を報じた市民記者の陳秋実さん、方斌さん、李澤華さん、艾芬医師と(中国当局を批判した)富豪の任志強氏らに面会したい」、華氏に対して「それでもその約束通りに段取りしてくれるのか?」と質問した。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]