英紙デイリー・テレグラフはこのほど、中国国営英字紙「チャイナ・デイリー」が提供した記事コンテンツを削除した。写真はチャイナ・デイリー紙(Photo credit should read FREDERIC J. BROWN/AFP/Getty Images)

英デイリー・テレグラフ紙、中国のプロパガンダ記事を掲載中止

英紙デイリー・テレグラフは、中国国営メディアが提供したプロパガンダ記事の掲載を中止したことが明らかになった。同国ガーディアン紙が4月14日報じた。

報道によると、過去十数年、デイリー・テレグラフ紙は、中国国営英字紙「中国日報(チャイナ・デイリー)」の「チャイナ・ウォッチ(China Watch)」のコラムを掲載してきた。中国側は、このコラムの掲載のためにデイリー・テレグラフ紙に資金を提供している。チャイナ・ウォッチの執筆者は中国の記者や編集者で、内容は主に国際社会で中国当局がリーダーシップを発揮していると称賛するものだという。デイリー・テレグラフは、これらの記事を紙新聞と電子版に載せていた。

デイリー・テレグラフ紙電子版は、同コラムをすでに削除したという。また、「中国共産党機関紙・人民日報電子版の記事を収載する別のコンテンツ」も削除した。

ガーディアン紙は、背景には、中共ウイルス新型コロナウイルス)のパンデミックを利用して、欧米メディアを通じて、影響力を拡大しようとする中国当局の下心に、欧米各国が警戒感を強めたことにあると分析した。

デイリー・テレグラフ紙が削除したコラムの記事は、「なぜ一部の人は、新型コロナウイルスを阻止しようとする中国の英雄的な努力を非人道的なものとしてけなすのか?(Why are some framing China’s heroic efforts to stop coronavirus as inhumane?)」「漢方薬は新型コロナウイルスとの戦いに役に立つ(Traditional Chinese medicine ‘helps fight coronavirus’)」と題するものだった。

デイリー・テレグラフ紙は、中国メディアが出資したコラムの掲載中止についてコメントしていない。

中国当局は毎年、外国の主流メディアにプロパガンダ記事を掲載するために莫大な資金を支払っているとみられる。一部の報道では、デイリー・テレグラフ紙は、「チャイナ・デイリー」が提供した記事を掲載することで、毎年約75万ポンド(約1億109万円)の収入を得ている。

中共ウイルスの大流行につれ、英メディアは中国当局に対して批判的な姿勢を取り始めた。デイリー・メール紙サンデー版は過去数週間、中国当局の影響力拡大で英国の安全保障に脅威をもたらしたと報道してきた。デイリー・テレグラフ紙の駐中国武漢市の記者は、当局が発表した感染者数の信ぴょう性を疑問視している。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]