中国の名山 五台山

五台山(ごだいさん)は、中国山西省東北部の五台県にある標高3058メートルの山脈で、主に五つの峰から構成される。総面積は2837平方キロメートルに達し、山頂は平坦に広がる。まるで人工的に建造された土台のような形をしていることから、五台山という名前が付けられた。

中国の佛教四大名山(五台山、峨眉山、普陀山. 九華山)の第1位にあり、「金五台」とも呼ばれ、文殊菩薩の聖地として古くから信仰を集めている。2009年にユネスコの世界遺産に登録された。

最も繁栄した時期には、300以上の寺が林立していたといわれる。現在でも、台内には39か寺(南山寺、顕通寺、塔院寺、碧山寺、普化寺、観音洞、龍泉寺、金閣寺など)、台外には8か寺(延慶寺、南禅寺、秘密寺、尊勝寺など)があり、合計47か寺が存在している。

気候は寒冷で、「清涼山」の別称もある。年間平均気温は零下4度、7~8月は最も暑くて9度前後、1月は最も寒くて零下18度ぐらいになる。

また、悠久の歴史があり、北魏の孝文帝、隋の煬帝、宋の太宗、元の英宗、清の聖祖、清の高祖などの皇帝も訪れたという。五台山の寺院の多くは勅令で建立されたものである。

ここでは多数の高僧が誕生した。唐が栄えた時期には、インド、日本、モンゴル、朝鮮、ネパール、スリランカなどの国からの留学僧が勉強し、一生ここで修行した人もいた。平安時代から鎌倉時代の入唐僧や入宋僧らも率先して五台山を訪れた。

また、チベット佛教の教徒の崇拝を集める菩薩頂と呼ばれる寺院があり、中国では漢伝佛教と唯一の共通の聖地となっている。

有名な寺院 顕通寺

顕通寺は、五台山の最大規模の寺院で、400以上の大小の建造物からなる。この寺院は漢の明帝の永平年間に建てられ、最初の名前は大孚霊鷲寺だった。北魏の文帝の時期に増築され、寺院の側に花園があるため花園寺と改名された。唐の女帝・則天武后は、新訳の『華厳経』に五台山の名が記載されているとして、大華厳寺に改名した。明の太祖は修築を命じ「大顕通寺」の額を賜り、顕通寺と称するようになった。

顕通寺内には、全部が銅で鋳造された「顕通銅殿」が設置されている。この銅殿は明朝の万暦36年(紀元1608年)に完成し、殿の高さ8.3メートル、幅4.7メートル、奥行き4.5メートル、重さ500トンあり、中国において現存する最大の銅殿である。銅殿には14枚の扉があり、扉の表面に精致な花卉や人物が鋳造されている。殿内の中央には高さ約1メートルの佛陀の銅像が安置されており、内壁に1万尊の小さな佛像が鋳造されている。 

(翻訳編集・東山)
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