四川省、森林火災で消防隊員18人死亡した。昨年同じ時期にも隊員ら31人死亡する事故を起こしており、元当局者は「指揮系統は素人で人命軽視」と批判的に見ている。写真は3月31日、西昌市の瀘山で消火活動にあたる消防士(GettyImage)

四川省、山火事で消防士ら19人が死亡 昨年も31人死亡 生かされなかった教訓

中国西南部の四川省凉山イ族自治州西昌市郊外で3月30日午後3時(日本時間同午後4時)ごろ、発生した山火事で、消火活動にあたっていた消防士18人と森林局職員1人の19人が死亡、消防士3人が負傷した。ちょうど1年前にも同省で、消防士ら31人が死亡する山火事が発生しており、元当局者は、人海戦術を展開する当局の対応に問題があるとみている。

同日深夜1時30分ころ、消防士らは消火作業に向かう途中、風向きが突然変わり、炎に囲まれたという。

森林火災予防専門家で元海南省森林火災予防事務所長の劉福塘氏は、ラジオ・フリー・アジアの取材に対して、これまで森林火災に人海戦術を展開する危険性を警告していたが、林業と消防の双方とも、これを問題視していなかったと述べた。また、劉氏は、事故の再発は指揮系統の素人さと、人命軽視していることに起因していると指摘した。

2019年3月31日の四川省涼山州木里県で起きた山火事でも31人の消防士が死亡した。当時、689人の消防士が投入された。

劉氏は「山間部では瞬く間に風向きが変わり、逃げ道がなくなる。四川省涼山州の火事も同じ状況だった」と述べ、教訓が生かされていないとした。

民間航空会社の南方航空森林レンジャーセンターの関係者は、同センター西昌市駐屯地にはヘリコプターが2機配備されているが、使用されたかどうかは不明だという。さらに、なぜ夜中1時に隊員を消火活動に向かわせたのかは不可解とした。

同省凉山州では何度も山火事が発生している。昨年の31人の消防士が犠牲になった2週間前にも山火事が発生し、6人の消防隊員が死亡した。海抜が4000メートルと高く、地形が複雑で人員による消火活動が困難な地形とされている。

2019年3月30日の山林火災で、現地共産党当局は、犠牲になった消防士たちを称える表彰式を行っているが、メディアや市民団体が、原因解明や責任追及といった動きに発展するのを制御した。

(翻訳編集・佐渡道世)

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