【紀元曙光】2020年3月30日

こんにちは。ぼくの名前は太郎。奈良公園に住んでます。人間はぼくたちのことを「しか」って呼んでます。

▼ぼくは、普通は奈良弁の鹿語を話してますが、今日は皆さんのために人間語でお話します。ぼくたち、実は山にいる仲間と同じ野生動物なんです。まあ、一年に一回、角を切られるなどちょっと管理はされますが、ここで人間に飼われているわけではないんですよ。

▼どうして公園にいて野生動物なのかというと、ぼくたちは神様のお使いという役目があって、昔からこの場所に住むことを認められてきたからなんです。神鹿(しんろく)なんて昔は呼ばれましたが、今はたぶん、誰も言わないな。

▼ぼくたちは、外国のお客さんが、たくさん日本に来てくれることを、とても嬉しいと思っています。でも、なかには自分勝手で、ちょっと困った人もいますね。写真や動画を撮ることに夢中で、ほかの人間や、鹿たちの迷惑を考えてくれないんです。

▼それ、たぶん「ちゅうごく」の人かな。鹿せんべいを、くれるんだか、くれないんだか。ぼくたちの頭を勝手に動かして、おじぎさせたり、からかったりしないでね。ぼくたちニホンジカにも誇りはあるんです。なにしろ神様のお使いですから。

▼今は、もらえる鹿せんべいも少ないので、つい仲間といっしょに奈良公園を離れて、街中へ出て行っちゃったりしてます。でも、ぼくたちも反省しています。もらうばかりじゃ、いけません。鹿も自立の時代です。いま世界に怖い病気が流行っているらしいけど、それがなくなったら、外国のお客さん、ぜひまた奈良へ来てくださいね。

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