2月14日、ドイツのミュンヘン安全保障会議でスピーチする米下院議長ナンシー・ペロシ氏(GettyImages)

米下院ペロシ議長、ファーウェイは「デジタル専制を輸出」独安全保障会議で発言

米国下院議長のナンシー・ペロシ氏は2月14日、各国の安全保障担当に対して、次世代通信規格5Gネットワ​​ーク構築に際し、共産主義制度の「デジタル専制」を取り入れる危険があるとして、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と取引しないよう注意を促した。

ペロシ氏は、独ミュンヘンで開かれている安全保障会議でスピーチした。世界中の外交と安全保障担当責任者級が参加する年次会議だ。

ペロシ氏は、中国共産党政権が自由主義に基づく普遍的な価値を損ない、「デジタル専制」を輸出していると非難した。また、経済的な理由で全体主義の拡散に手を貸さないよう、参加国代表に呼び掛けた。ファーウェイ製の設備は他の西側5G機器よりも比較的安価な事で知られる。

「中国は通信技術を通じて、デジタル世界の専制体制を輸出しようとしている。さらに、この技術を受け入れない地域には、経済的報復をちらつかせ、脅している。米国は、ファーウェイをエンティティリストに追加して、米国企業との取引を制限している」。またペロシ氏は、各国代表者に対して、中国共産党政権による民主的価値、人権、経済的な独立、国家安全保障の面で「思慮に欠ける譲歩」をすれば、その野心を煽ることになると警告した。

「5G通信が、私たちと価値を共有しない権威主義政府によって支配されれば、これは最も危険な侵略手法だといえる」と強く述べた。

 

中国外務官で元副外務大臣の傳※(草冠に宝、フー・イン)氏は、すぐさまペロシ氏に異議を唱えた。「中国は40年前から経済改革を始めた。1G、2G、3G、4Gまですべて西洋先進国から輸入してきた。しかし、政治システムに変化はなく、つまり政治システムは技術に脅かされることはないということだ。今回、欧米諸国でファーウェイの5Gが導入されば、民主主義の政治システムが脅かされるのか」。傳氏の質問の後、会場から多少の拍手が起きた。

ペロシ氏は次のように答えた。「ここで拍手する人々には、まず、ファーウェイが、米国の革新的な技術をコピーしていたということを伝えたい。(模倣は)彼らの主要な手段だ。私たちは中国(共産党)のシステムを真似しない」とし、ウイグル族の大量拘束や、チベット文化および宗教の虐待、香港の民主主義への破壊を取り上げた。「中国のような社会や経済を最終的に望むなら、これは自由な企業モデルではない」

ペロシ氏は、中国のハイテクノロジー産業の発展と地球温暖化防止措置を部分的に評価したうえで、「だからといって、中国の継続的かつ増大する弾圧が無視されるべきではない。情報を自由な流れ、集団的価値の構築、人権を尊重したければ、ファーウェイに近づいてはいけない。代わりに、国際化と協力して情報の自由のシステムを構築しよう」と各国出席者によびかけた。

ペロシ氏の発言は、ファーウェイに対する、米共和党と民主党との間の高度な一致を反映している。トランプ政権の最高幹部は、5Gネットワ​​ークの構築時にファーウェイ機器を避けるよう、欧州と太平洋の同盟国に積極的に促している。ペロシ氏はトランプ大統領の弾劾裁判など対立的立場を鮮明にしているが、中国共産党による人権弾圧については積極的に発言し、米現政権と同じ立場を示している。

独ミュンヘン安全保障会議には、米国からはマイク・ポンペオ米国務長官とマーク・エスパー国防長官も出席した。日本からは茂木外相、河野防衛相らが参加した。

(翻訳編集・佐渡道世)

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