新型肺炎警告の医師が死去 中国SNSに渦巻く怒りの声「我々に言論の自由を」

昨年12月末、SNS上で新型コロナウイルスの発生に警鐘を鳴らし、当局に処分された医師の1人、武漢市の眼科医・李文亮氏が2月6日夜、新型肺炎死去した。34歳。

李氏は昨年12月30日、SNS上で市内に重症急性呼吸器症候群(SARS)が発生した可能性があると注意を呼び掛けた。2日後、この情報を転載した7人の医師とともに警察当局から処分を受けた。その後、李医師は新型肺炎に感染した。

中国の世論は、李氏の死去に大きな関心を寄せた。微博では、7日早朝の午前4時にもかかわらず、「李文亮医師死去」と「李文亮死去」はトレンド1位と2位になった。閲覧総回数は6億回。

多くのネットユーザーは、「英雄、どうか安らかに眠ってください」と書き込み、新型コロナウイルスの感染拡大をめぐる当局の情報統制や情報隠ぺいに怒りをあらわにした。

世論の強い反発を受けて、中国当局はネット検閲を強めた。「李文亮医師死去」が微博のトレンド1位になってから、わずか15分で7位まで下がった。

また、ネットユーザーは「我們要言論自由」(われわれに言論の自由を)の話題を立ち上げた。李医師が死去して4時間後の7日早朝の午前1時までに202万回の閲覧があり、8000を超えるコメントがついた。

この話題はまもなく当局のネット規制当局に削除されたが、ユーザーらは少し文字を変えて「我們要求言論自由」(われわれは言論の自由を求める)の話題を新たに立ち上げ、当局の言論封鎖への不満が噴出した。

「人民がなぜ言論の自由を有してはいけないのか。なぜ(政府の発表を)疑問視してはいけないのか。(中略)なぜ幹部が威張っているのに、人民はそれに服従しないといけないのか」

「われわれに言論の自由を。あなた、そして私のために」「われわれに言論の自由を。私は人間です。独立して生きている人間です。人間のもっとも基本的人権を享受する権利がある」

「削除されても、書き込み続ける。私たちに言論の自由を」

「言論の自由を求める。今日の武漢は明日のわが身。真実の情報にアクセスするのはわれわれの権利だ。真実の情報を公開するのもわれわれの権利だ」

「隠語で書き込むのはもう嫌だ。普通に書き込みたい」

「いつか、李医師の写真を手にして街頭に出たい」

「当局がすべての書き込み、ユーザーアカウントを削除しても、すべての国民の口を封じ込められるのか?」

また、李医師が生前、メディアの取材に応じた時に語った言葉も再び注目された。

「健全な社会は一種類の声だけにするべきではない。公権力を使って過度に干渉すべきではない」

「大事なのは市民に真相を知ってもらうこと。私個人の名誉回復は二の次だ」

中国メディアによると、同氏の両親も感染したが、現在回復して退院したという。妻は2人目を妊娠中だという。

(翻訳編集・張哲)

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