【紀元曙光】2020年1月28日

およそ百年前、1918年から1919年にかけて大流行したインフルエンザは「スペイン風邪」と呼ばれ、全世界で猛威を振るった。感染者は5億人以上、死者は5千万から1億人とも言われる。人類史上最大の病禍と言ってもよい。

▼14世紀にはペストの大流行があり、推定ながら8500万人が犠牲となった。この時のペスト流行は中国発だったが、シルクロードを通じて伝わったヨーロッパで特にすさまじく、欧州のほぼ全土で2千万から3千万の人が皮膚を黒色にして死んだ。

▼その悲劇があるため、西洋史のなかの中世のイメージは、ひどく陰鬱なものになっている。20世紀になって、近代医療は中世の魔術レベルから格段に進歩したと言ってよいが、スペイン風邪は、医療を無力化するほど圧倒的な数の人を罹患させ、病院を経由して墓場へ送った。

▼中国武漢市で、新型コロナウイルスによる肺炎患者が増え続けている。「当局が発表する情報を信じないで!」という悲痛の声が、現地関係者からSNSで発信される。

▼隠しスマホで撮ったらしい、ある病院内部のすさまじい様子も伝えられている。そこは地獄絵図で、あふれかえった患者が廊下に寝かされ、助けを求めてうめき声を上げる。同じ廊下には複数の遺体が、搬出もされず置かれている。患者の隔離はおろか、病院そのものがウイルスを培養しているようなものだ。

▼いま現地にある医療現場は、経験したこともないような極限状態にあるだろう。それは百年前の、いや中世ヨーロッパを彷彿とさせるようなパンデミックの出現を意味しているかもしれない。

関連記事
中国古典舞踊の最高峰・神韻芸術団は20日に来日。待望の2025年神韻世界巡回ツアーが23日に日本の名古屋で開幕する。
肩の柔軟性と筋力を高める6つのエクササイズを実践すれば、可動域を改善し、肩こりや日常の不快感を和らげる効果が期待できます。
白キクラゲやレンコンをはじめ、免疫力を高める10の食材を紹介。伝統医学と現代科学が推奨する抗炎症効果で、肺を潤し冬を快適に過ごす方法を提案します。
新たな研究により、男性における自閉症の発症リスク上昇には、Y染色体が関与している可能性が示されました。男性では自閉症が女性より約4倍多く見られる一因として、Y染色体が自閉症リスクを特異的に高めていることが明らかになっています。
朝食のタイミングを調整することで、2型糖尿病の血糖値管理が改善する可能性があることが新しい研究で明らかに。運動と食事のタイミングが血糖値に与える影響を探ります。