香港抗議者を移送する動画流出 本土へ送られるとの疑念も

ソーシャルサイトでは最近、香港機動隊が抗議者とみられる若者を移送する光景を捉えた動画が、少なくとも3本出回っている。若者が手錠を掛けられている。5カ月続く香港市民デモでは、最前線に立った「勇武派」と呼ばれる若者を中心に4000人あまりが逮捕されている。行方不明者が出ているため、警察は中国本土に逮捕者を移送し、拘禁しているとの懸念がある。

1つ目の動画は、広東省深セン市と香港を繋ぐ路線「東鉄線」の列車に、手錠をかけられた若者の列が1人につき1人の武装した覆面の警官に腕をおさえられて運ばれる様子が映っている。

2つ目は旺角駅で、同様に若者の列が次々に駅ロータリーに並んだ警察車両に運び込まれる様子が映っている。周辺では自動小銃を構えた武装警官が厳重に警備している。

3つ目は、中国との境界近くを走る東鉄線で、不自然に窓がすべて黒く塗られている。

アメリカに亡命した中国人富豪の郭文貴氏が自身のYouTubeチャンネルで若者が深センに送られていると述べた。香港にも闇の収容所があるという。「突貫工事で収容所の建設を進めている」

元英国領事館職員「拷問を受けた」「香港の若者がいる」

深センに出張した際、中国当局に身柄を拘束された駐香港イギリス総領事館職員(当時)の鄭文杰 (サイモン・チェン)氏は釈放後、収容施設で香港の抗議者とみられる若者を見かけたと述べた。

同氏は2019年8月8日、深セン出張時に中国本土当局に逮捕され、15日間拘束されたのち、釈放された。今、香港を離れ、海外に亡命を求めているが、どの国かは明らかにしていない。

チェン氏は11月20日、複数の外国メディアの取材を受けた。大陸の収容所では「虎の椅子」と呼ばれる鉄製の椅子に長い間、座らされ、寝ることをはく奪され、動けば殴られるといった拷問を受けたと語った。また尋問では、民主活動家たちの情報提供を要求された。

深センで捕らえられた際、チェン氏は頭部から布袋をかぶせられていたため、どの収容施設かは知ることができなかった。収容所で少なくとも、香港で民主運動に関わっていたとみられる10人の若い「容疑者」を見ているという。彼らは手錠をかけられ、オレンジ色のベストを着せられていた。

「廊下を歩いていると、尋問部屋のひとつから叫び声が聞こえた。『もっと手を高く上げろ!抗議運動ではそのように手を上げていたではないか』と。私は香港のデモ参加者ではないかと思った」

さらに、1000枚を超える香港抗議者の写真から「知ってる人はいないか」と聞かれたという。知っている人の名前と政治的立場を話すよう要求された。国家安全部門の関係者は、多くの香港デモの抗議者が中国に移送され、たくさんの個人資料を収集したと明言した。

香港と中国本土の特別便

中国本土の鉄道旅客サービスセンターは、11月19日、20日、香港から本土まで特別に20本を増便していると発表した。この2日間に、抗議者たちが本土に移送されたのではないかとの推測がある。

香港警察によると6月から11月21日までに、暴動への参加、違法な集会、身体的危害、警察官への暴行の罪で、11~83歳の5856人がさまざまな地区でのデモ活動中に逮捕された。警察広報局は声明の中で、逮捕者のうち332人は16歳未満で、2327人は学生だという。

警察発表によると、6カ月の民主運動のなかで、「自殺」と警察が断定する不審死が相次いでいる。事件化せず、捜査もしない警察への不信感が高まっており、抗議者たちはあらかじめ「私は自殺しない」宣言を行っている。

最近失踪した香港抗議者(香港デモ失蹤者を探す団体)

(翻訳編集・佐渡道世)

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