9月29日、抗議者と対峙した香港治安部隊の警官ら(余鋼/大紀元)

15歳少女が全裸の水死体で発見 香港でデモ開始後不審死相次ぐ

香港メディアは11日、先月、発見された全裸の女性の水死体が15歳の女子学生だと報じ、波紋を広げている。6月「逃亡犯条例」改正案反対デモが始まって以来、香港で不審死の件数が急増している。警察はいずれも自殺と断定、事件化していないが、抗議者の間では「抗議活動で殺された」との疑念が強まっている。

女子学生は飛び込みの選手で、地区大会の自由形リレーで優勝したこともある。香港における政府抗議活動には複数回にわたり参加していた。警察は死因を調査中としている。

相次ぐ不審死

香港紙・蘋果日報10月11日の独占報道によると、9月19日に専門学校生の陳彦霖さんが失踪した。同日午後2時15分、友人と地下鉄駅で別れて10分後、「帰宅途中」と友人にメッセージを送った後、行方が分からなくなった。警察は22日、南部の油塘デビルズピークの沿岸で、女性の遺体を発見したと報じた。

10月9日、蘋果日報の問い合わせに、警察は「身長や髪の毛の色などの身体特徴から、遺体は陳さんである可能性が高い」とコメントしたが、陳さんを拘束したかどうかについては、回答していない。

同紙の報道によると、陳さんは飛び込みの選手で、地区大会の自由形リレーでチーム優勝した経験を持つ。「全裸」「水泳選手」などの点から自殺の可能性は低いという。

陳さんは生前、複数回にわたり「逃亡犯条例」改正案反対デモに参加していた。

8日にも住宅街「海怡半島」付近の海岸で、黒いTシャツを着用した30歳前後の女性の遺体が発見された。黒い衣装は抗議者を示す「ユニフォーム」。警察は現場周辺の監視カメラを検証した結果、女性は入水自殺を図ったと発表した。

また9月24日、住宅団地の「海濱花園」近くの海で全身黒い服を着用した男性の遺体が発見された。水死により引き起こる身体の膨張はなく、口と鼻から血を流していたという。警察は男性が遺書を残しているとして、事件性は低いとした。

男性の水死体の発見前、警察官が度々、現場に姿を見せていたことが目撃されており、ネット上では不自然と指摘する声が上がった。

香港メディアは6月、市民が抗議活動を開始以降、不可解な「自殺」事件が増えている。とくに8月31日、地下鉄「太子駅」で警官隊が市民を無差別に襲撃する事件が起きてから、水死や飛び降り自殺の件数が急増している。

立法会(議会)の毛孟静議員は襲撃で少なくとも重傷と発表された3人の行方が分からなくなっていると主張。当局は当時の監視カメラの映像公開を拒否している。

香港メディアによると、200万人デモが行われた6月12日以後の10日間で、自殺者は平均10人前後で推移していたが、9月1日からの十数日間に、自殺者は49人まで急増、「831襲撃事件」と関係しているとの見方が根強く存在する。

また、中国本土との境界線に近い新屋嶺拘留センターに送られた抗議者が行方不明となったと伝えられた。9月27日の集会で、同拘留センターの警官から暴行、拷問などを受けたという証言が多数、寄せられた。ある代読された証言の文章は「目隠しされ、そして裸にされたうえ、手足をテーブルに固定されて、非人道的な待遇を受けた」と訴えた。

香港のキャリー・ラム長官は前日、同センターの使用中止を発表した。

拘束中に性被害の証言も

10月10日、香港中文大学で学長と在校生による対話集会が開かれた。参加者の女子大学生はマスクを外し、身元を明かした上、警官から性的暴行を受けたと訴えた。同学生は、8月31日、太子駅で警察に拘束された後、新屋嶺拘留センターに連行された。拘置所で、学生は他の拘束者も警官から性的虐待を受けたと話した。

この女子学生の訴えを受け、同日、九龍区の高校に通っている2年生の男子生徒は同拘留センターで「レイプと集団レイプ」されたと声明を発表した。9月27日の集会で代読された証言は「自身が書いたもの」とも明かした。生徒は近く記者会見を開く意向を示した。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
「孔子学院?新華社?こんなものはもう退屈だろう。中国が本当に世界的なソフトパワー拡大には、モバイルゲームに焦点を当てるべきだ」中国国内メディアは最近、100億米ドル規模に達している中国ゲームの影響力の高まりに自信を見せている。当局は、ゲームコンテンツを通じて中国文化の浸透工作や、親共産主義人物の人気獲得を促進したりしている。
日本料理の「五味五色」が生む健康の秘密。陰陽五行に基づく養生観が、日本人の長寿とバランスの取れた食文化を支えています。
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。