ニューヨーク市場のトレーダーたち。2019年5月撮影(GettyImages)

第三の戦場は資本市場 米議会、中国金融市場を切り離す動き

米国議会は、中国企業が米国証券取引委員会(SEC)の透明性と問責ルールに準拠して米金融市場で取引するよう求める法制定を進めている。評論家は、米国と中国が貿易戦争と技術戦争の後、資本市場は第三の戦場に変わると指摘する。

米国議会では、米国証券取引所に上場している中国企業への監督を強化する動きが進んでいる。マルコ・ルビオ上院議員(共和党)は6月、新たに定める上場企業としての要件を守らなかった企業の上場を停止する法律を発議した。

ロンドンのイノドー経済(Enodo Economics)は、米中戦は貿易戦、技術戦、そして第三のステージとして資本市場戦が繰り広げられると分析する。

2019年6月5日、ルビオ上院議員は「海外上場に関する情報の質と透明性の確保」(別名:公平法案 Equitable Act)を発表した。この法案はボブ・メネンデス上院議員(民主党)、トム・コットン上院議員(共和党)、キルステン・ジリブランド上院議員(民主党)ら超党派の支持を得た。

この法案は、米国の証券取引所に上場している中国やその他の外資系企業の監督を強化し、米国の規制当局が、完全な監査報告書を確認できるようにするもの。米国の開示基準に完全に準拠していない企業は、3年間、米国証券取引所から上場停止となる。

米中経済・安全保障審査委員会は、共産党に近い156社の中国企業が1.2兆ドルを超える時価総額で3つの主要な米国証券取引所に上場していると報告している。

イノドー経済研究所は、ルビオ議員が提出した「公平法案」の可決は80%の確立だと予想している。可決された場合、最も影響を受けるのは、すでに上場しているアリババグループ、中国電信(チャイナテレコム)、中国移動(チャイナモバイル)、京東、新浪、騰訊(テンセント)、百度、中国聯通(チャイナユニコム)などITや技術大手企業。これらはすでに、ニューヨーク証券取引所とナスダック証券取引所に上場している。

また、ルビオ議員とジーン・シャヒーン(民主党)両上院議員は8月26日、連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)に中国株投資を止めるよう求める書簡を送った。FRTIBは一部の投資をMSCI総合株価指数にシフトする予定で、MSCI指数の構成銘柄には自国の軍事、情報活動に協力的な中国企業が含まれている。

米の両院議員はまた、トランプ大統領に対して、年金基金とファンドマネジャーによる中国企業への投資活動を制限するよう要請している。

ブルームバーグの市場情報は現在中国株に投資する500以上のファンドを掲載している。これらのファンドは6兆9000億ドル相当の中国株と13兆ドル相当の中国債券に投資している。いずれも中国と香港の取引所で取引されている。

中国の国家外国為替管理局(安全)は、金融市場の自由化を支持し、外国人投資家が中国国内資産を購入する際に設けられた3000億ドルの上限を撤廃した。これは、米国の金融機関が中国の資本市場開放のために行った20年間にわたるロビー活動の結果とみられる。


クリス・ストリート

マクロ経済、技術、国家安全保障の専門家。複数の企業のCEOを務め、1500以上の書籍を出版する作家でもある。

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