Pixabay

日本の昔話: 現世修行の原因

昔、近江国にお坊さんがいて名を賴真と言い、9歳の時、金勝寺に入りました。彼は記憶力に優れていて、僧の経を読誦するのを聞くと、すぐ覚えるようになりました。

賴真は毎日経を読誦し続けて、だんだんと知恵のある有識な長者となりました。しかし、彼の話す時の様子はいつも他の人と違って、まるで牛のようで、口は歪み、顔も少し傾きました。賴真はこんな自分がとても恥ずかしいと思い、嘆きました。

「わしは前生の悪業のせいで今それに報われるのか。今世にこれを懺悔せずば、また後世を恐るべし」

賴真は比叡山の根本中堂に参り、七日七夜籠しました。六日目の夜、夢に貴い僧が出てきて告げました。「あなたの前世は鼻のない牛で、近江の国依智の郡の官首の家で養われていた。ある日、官首は8部の仏経を牛に背負わせ、お寺に運ばせた。牛はそれを無事にやり遂げた。お前は仏経を背負い運んだゆえ、今世は人と生まれて、仏法を修めることができた。ただし、前世の罪がまだ全部償われていないので、口がまだ牛の形で残っているのだ。努力して修行し続けるときっと人の生死の輪廻から抜け出せるのじゃ」

賴真は目を覚ますと、感慨無量となり、もっと精を出して仏法を修めるようになりました。彼は70歳の際まで生きましたが、臨終の際.何の苦痛もなくこの世を去りました。

日本滋賀県栗東県金勝寺。(YOSHIFUMI OGISO/Wikimedia Commons)

参考資料:虎関師錬 (著) 『元亨釈書』/景戒 (著)『日本国現報善悪霊異記』

(大紀元日本ウェブ編集部)

関連記事
白キクラゲやレンコンをはじめ、免疫力を高める10の食材を紹介。伝統医学と現代科学が推奨する抗炎症効果で、肺を潤し冬を快適に過ごす方法を提案します。
新たな研究により、男性における自閉症の発症リスク上昇には、Y染色体が関与している可能性が示されました。男性では自閉症が女性より約4倍多く見られる一因として、Y染色体が自閉症リスクを特異的に高めていることが明らかになっています。
朝食のタイミングを調整することで、2型糖尿病の血糖値管理が改善する可能性があることが新しい研究で明らかに。運動と食事のタイミングが血糖値に与える影響を探ります。
神韻芸術団2025年日本公演間近、全国42公演予定。伝統文化復興を目指す公演に観客の支持と絶賛の声が相次ぎ、チケットも記録的な売上を上げている。
食品添加物「カラギーナン」が健康に与える影響についての新しい研究結果を紹介。インスリン感受性や炎症の悪化と関連があり、摂取を控える方法も提案します。