第一章 メディア
独裁者のロジック(吳葆璋)
1999年10月、フランスの日刊紙大手フィガロ(Le Figaro)の編集委員会主席編集委員アラン・ペールフィット(Alain Peyrefitte)は、間もなくフランスを訪問する予定の中国の国家元首江沢民に対して、書面でのインタビューを行い、中国、フランスと世界情勢についての考えを求めた。江沢民はここぞとばかりに、先制攻撃の手法で国際的なメディアを占領し、「邪教」の二文字で、半年前から行ってきた法輪功(ファルンゴン)への暴力的弾圧行為を釈明した。
中共当局がフランスを選んだのには二つの目的があった。一つは、フランスでは以前から、特に世界を驚かせた「人民寺院」(The Peoples Temple)事件以来、行政と司法の双方による一連の措置の実施を通して、各種の邪教がフランスで氾濫するのを防ごうとしてきた。そのため、中共当局は、フランスのこのような特殊な社会事情を利用して、白黒を逆転させ、是非を混同させる絶好のチャンスだと考えたからである。
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