ま え が き
2010年のノーベル平和賞にノミネートされたカナダの人権弁護士、デービッド・マタス氏と「臓器の強制摘出に反対する医師団(DAFOH)」の米国執行長、トルステン・トレイ(Torsten Trey)医師が共同で編集した『State Organs: Transplant Abuse in China』(邦訳『中国の移植犯罪 国家による臓器狩り』)が2012年に出版されて以来、世界の医療界、法曹界ならびに政界に大きな反響を巻き起こした。人々はこの残酷な事実に驚愕し、中国で起きている臓器狩りに注目するようになり、ヨーロッパやアメリカの国会など、世界各地でこの迫害を制止するためのシンポジウムや公聴会が開かれてきた。中国大陸の民衆も迫害される危険を冒しながら、制止のための署名運動を行っているが、中国での臓器狩りは今なお続いている。
その根本的な原因は、中共当局による法輪功に対する残虐な迫害が今なお続いているからである。中国の法輪功学習者は、中国大陸最大の移植臓器供給源であり、臓器狩りの主たる被害者である。ならば、この迫害が終わらない限り、臓器狩りの暴挙も終わらない。
そこで、トルステン・トレイ医師と人権活動家の朱婉琪弁護士が、臓器狩りの根本的問題である「法輪功迫害」について深く探求した本書を共同で編集した。長年来中共当局の法輪功に対する迫害に関心を持ってきた世界各国の著名な専門家、議員、弁護士、医師及び人権活動家に呼びかけて、政治、社会、経済、医学、法律、メディア、文化等の異なる角度から、中共前党首の江沢民が発動した法輪功弾圧が21世紀の人類の様々な局面にもたらした影響について分析してもらった。
欧米とアジアの19人の執筆者による客観的な分析から、「法輪功に対する迫害」は、ただ単に一億人におよぶ法輪功学習者の基本的人権を剥奪しただけでなく、この残虐な迫害が長期的かつ広範囲にわたって行われていることによって、人類の良知が毒され、道徳の普遍的価値観が完全に破壊されてしまったことがわかっていただけるであろう。それが人類にもたらした影響は計り知れず、世界中の人々がこの未曾有の邪悪な迫害に巻き込まれているのである。