(イメージ / Pixabay CC0 1.0)
渋沢栄一「論語と算盤」と現代ビジネス

論語は西洋近代経営学に先んじていた

「近代経営学」の父と言えばP.F.ドラッカーでしょうが、その「完全雇用」とはあくまでも「自由主義」という、アダム・スミスの説いた理論が土台でした。

つまり、アダム・スミスは「近代経済学の父」であるのみならず、「近代経営学の大地」でもあるでしょう。

論語」は、このスミスの思想に影響を与えたと思われるのです。

pixabay

 日本では、「論語」にある「仁」(人を愛する)や「恕」(人の身の上や心情への同情、思いやり)などは、江戸時代の大商人の家訓に定めれれていました。三井家や住友家です。

pixabay

こうした家訓のことも意識して渋沢栄一が執筆したのが「論語と算盤」です。タイトルを現代訳すれば「倫理・思いやり と 計数管理・経営」となるでしょう。

渋沢が経営に「倫理」(道徳)や「利他」(他者の為)を唱えたのはドラッカーよりも早かったと言えますが、「近代経済学の父」として、経営学に大きな影響を与えたアダム・スミスが、「倫理と利益を両立させて経済を発展させる」という考え方をもっていました。

pixabay

 アダム・スミスの頃のキリスト教社会では、「金儲けは不浄」とする昔ながらの考えが広まっていました。そんな中でスミスが主張した「道徳感情論」は、フランス啓蒙思想によって「他者の為になることをする倫理」を掲げていました。

「論語」は17世紀に中国・明や日本へ来たイエズス会の宣教師がラテン語に翻訳し、フランス啓蒙思想の重鎮であるモンテスキューらに影響を与えたのでした。

 このように、論語はいろいろなところを巡りましたが、ラテン語約を介して英語などにも翻訳され、近代の経済学や経営学に影響しています。

そんななかで、日本では昭和初期までは漢文という形で「論語」の原文を読んだ人が多数存在し、そこで得た知識が国民の中に蓄積されてきています。

pixabay

 倫理・思いやり。一見、ビジネスとはかけ離れたように見える二つ、実は最も早くビジネスに取り込んでいたのは日本かもしれません。だとすれば、「日本型経営」の良さも見えてくるかもしれません。

(大紀元日本ウェブ編集部)

関連記事
肩の柔軟性と筋力を高める6つのエクササイズを実践すれば、可動域を改善し、肩こりや日常の不快感を和らげる効果が期待できます。
白キクラゲやレンコンをはじめ、免疫力を高める10の食材を紹介。伝統医学と現代科学が推奨する抗炎症効果で、肺を潤し冬を快適に過ごす方法を提案します。
新たな研究により、男性における自閉症の発症リスク上昇には、Y染色体が関与している可能性が示されました。男性では自閉症が女性より約4倍多く見られる一因として、Y染色体が自閉症リスクを特異的に高めていることが明らかになっています。
朝食のタイミングを調整することで、2型糖尿病の血糖値管理が改善する可能性があることが新しい研究で明らかに。運動と食事のタイミングが血糖値に与える影響を探ります。
神韻芸術団2025年日本公演間近、全国42公演予定。伝統文化復興を目指す公演に観客の支持と絶賛の声が相次ぎ、チケットも記録的な売上を上げている。