中国当局、「精日分子」への締め付けを強化か 1日9人逮捕
中国各地の警察当局は28日だけで、日本に共感する若者、いわゆる「精日(精神的日本人)」9人を身柄拘束した。当局は、若者が「精日」のマンガを制作し、国民の個人情報を窃盗した後、反中国当局の「精日団体」に提供した疑いがあると主張した。日中関係が回復するなか、中国当局側の措置は「理解できない」との声が上がった。
米ラジオ・フリー・アジア(RFA)29日付は、中国メディア「澎湃新聞網」の報道を引用し伝えた。これによると、中国の江蘇省南京市、湖北省武漢市など6つの都市の警察当局が28日に9人の「精日分子」を逮捕した。
安徽省淮南市警察当局は公告において、逮捕された「精日分子」の張氏について、「日本のマンガを好み、日本文化を極度に崇拝している。同氏は、中国国民を侮辱する『猪頭人身(豚の頭で人の体)』というキャラクターを主人公にしたマンガを制作した。さらに、中国の歴史や国内外の情勢を故意にわい曲している」とした。
RFAが淮南市警察当局に取材し、「中国のどの法令に基づいて張氏を逮捕したのか」と尋ねたところ、警官は「わからない。他の関連部門に聞いて」と返答した。
澎湃新聞網の報道によれば、安徽省宿松県の警察当局は、「精日分子」4人が2万人以上の住民の個人情報を集め、「不法な機関と人物に売買し、反中国の精日集団に協力した」と公表した。RFAは「当局は4人がどんな情報を盗んだのか、またどのような不法な機関に売ったのかに言及していない」と指摘した。
在米時事評論家の李洪寛氏はRFAに対して、「中国では一部の若者が日本文化に好感を持っているのは事実だが、これが原因で逮捕するのはやり過ぎだ。明らかに、当局は彼らの言論を締め付けようとしている」と話した。
「日中関係は回復しており、当局がただ日本文化が好きな若者を拘束したことは理解できない」
李氏は、地方の警察当局が中央政府からの経費を獲得するために、「このような不可解な行動をとった可能性がある」とした。
日本に住む中国人作家の劉彬氏によると、過去2年間に日本を視察で訪れる中国政界と経済界の代表団が増えている。「多くの人は日本に好印象を持っている」と話した劉氏は、「精日」の若者が逮捕されたことに驚いたという。
中国当局はここ2年間、「精日」が日本の極右勢力と同じように歴史事実を歪め、中国を侮辱するような発言をしていると、批判を強めている。しかし、劉氏は、日本の右翼団体の大半は中国共産党を強く非難しているだけで、中国文化を批判してはいないと指摘した。
(翻訳編集・張哲)