英国のジェレミー・ハント外相はこのほど、香港の大規模な抗議デモに強く懸念を示し、中国当局に対して中英共同宣言の順守を求めた(Peter Morrison – WPA Pool/Getty Images)

香港問題で英中対立激化、英外相「中国外交官追放の可能性ある」

香港の大規模な抗議デモをめぐって、ジェレミー・ハント英外相はこのほど、中国当局に対して中英共同宣言の順守を強く求めた。また外相は英メディアに対して、英政府は駐英中国大使や外交官を国外追放するなどの制裁を科する可能性を排除しないと述べた。

香港市民約55万人が1日、容疑者の中国本土への移送を可能にする「逃亡犯条例改正案の撤回を求めて大規模な抗議デモを実施した。2日未明、香港警察当局は催涙弾を発射して抗議者を強制排除した。

ハント外相は1日のツイッターで、英国政府は香港とその「揺ぎない自由」を支持するとの声明を発表した。2日、外相は「香港市民は、中英共同声明の下で自由の権利を享有している。中国当局がこの法的拘束力のある文書を順守するよう希望する。でなければ、深刻な結果を招く恐れがある」と警告した。

3日、中国の劉暁明・駐英大使は記者会見で、香港をめぐる英政府の発言は「中国内政への干渉に当たる」と反発した。大使は「英政府は、香港がすでに英国の植民地ではないことを忘れた」と話し、ハント外相の発言は「両国の関係を損った」と批判した。劉大使の発言に不満を示した英外務省は同日、劉大使を呼び出し、発言に関する説明を求めた。

また、メイ英首相は3日の議会で、6月末に大阪で開催された20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)で、中国の習近平国家主席に対して、香港の大規模な抗議デモを提起し、市民に対する武力鎮圧への懸念を伝えたと明かした。「中英共同宣言に定められた香港の高度な自治と市民の権利および自由が尊重されることが非常に重要だ」

英外務省は6月25日に発表した声明で、1984年に署名された中英共同宣言は依然として法的拘束力を有すると強調した。しかし、中国外務省の報道官は1日の定例記者会見で、「中英共同宣言で定められた英側の権利と義務を全て履行した」「英側は香港に対する責任は一切ない」と述べた。

一方的に中英共同宣言を破棄しようとする中国当局に対して、ハント外相は4日の英BBCラジオ4のインタビューで、中国外交官を国外追放するなどの制裁措置を講じる可能性があると発言した。

外相は現在の香港情勢に強い懸念を示した。また、自由と法治を求める香港市民への支持を改めて示した。

外相はまた、中国当局との対立が激化し、今後中国当局からの報復措置を受け、英国経済に損失を受けかねないとの憶測について、「われわれは、われわれの価値感を守る必要がある。つまり、中英共同宣言を順守するという基本原則を堅持することだ」と話した。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
「孔子学院?新華社?こんなものはもう退屈だろう。中国が本当に世界的なソフトパワー拡大には、モバイルゲームに焦点を当てるべきだ」中国国内メディアは最近、100億米ドル規模に達している中国ゲームの影響力の高まりに自信を見せている。当局は、ゲームコンテンツを通じて中国文化の浸透工作や、親共産主義人物の人気獲得を促進したりしている。
日本料理の「五味五色」が生む健康の秘密。陰陽五行に基づく養生観が、日本人の長寿とバランスの取れた食文化を支えています。
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。