米カリフォルニア州警察は、「海のコカイン」と呼ばれる巨大魚トトアバの浮袋の密輸容疑で、中国人2人を逮捕した。写真は杭州の市場で売られている乾燥浮袋(GettyImages)

「海のコカイン」絶滅危惧の魚の浮袋、密輸容疑で中国人2人逮捕=米国カリフォルニア

米カリフォルニア州警察は、中国籍の男2人を、絶滅危惧の大型魚トトアバの浮袋の密輸容疑で逮捕した。この浮袋は中国で珍味として高額取引され、裏に闇組織が関わることから「海のコカイン」とよばれる。今回の押収量の市場価格は94万~376万ドルに及ぶ。

ニベ科の高級魚トトアバは、絶滅危惧種に指定されており、米国やメキシコで禁輸指定されている。南カリフォルニア裁判所の捜査令状によると、Liang YikangとHuang Haoyuが、132個の乾燥したトトアバ43キロを運んでいたところを警察当局が発見し、逮捕した。

捜査令状によると、トトアバの浮袋は闇市場で1キロ当たり2万~8万ドルで売られており、コカインより高く取引されている。2人の男に対する刑事訴訟はまだ提起されていないが、捜査官は今後、男2人の電話記録などから取引先や仲介人など、裏カルテルを調べる。

中国では、トトアバの浮袋を乾燥させた「魚肚」は、ナマコ、アワビ、フカヒレと合わせて「参鮑翅肚」と呼ばれ、中国四大海味の一つとされている。豊富なゼラチン質は若返りの効果があると信じられており、乾物1個が100万円以上で取引される場合がある。金のように、財産として備蓄することもあるという。

トトアバは、世界で唯一、メキシコのカリフォルニア湾にしか生息していない。乱獲による個体数減少のため、1975年、メキシコ政府は漁を禁止した。世界自然保護基金(WWF)によると、トトアバの浮袋の大部分は、メキシコから米国に入り、その後中国に密輸されている。

AFP通信によると2019年4月、メキシコ海軍船がカリフォルニア湾内で操業していた不審船20隻を拿捕した。船から2万匹相当の密漁されたトトアバが発見され、その浮袋の市場価格は130億円に相当するという。逮捕者の多くはメキシコ人だが、中国人が11人含まれており、メキシコ当局は中国に引き渡した。中国当局によると、11人は広東省江門市の闇組織と関係しているという。

2018年末、中国当局は密輸されたトトアバの浮袋、約500キロ、推定2.6億円相当を押収した。環境監視団体・地球国際同盟(Earth League International)による2018年の調査では、この取引はメキシコ人の密漁者が、メキシコ在住の中国人の闇仲介業者に売っていたという。

(翻訳編集・佐渡道世)

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