カナダの教授は、中国臓器収奪問題について寄稿文を書き、現在最終審議中の海外渡航移植の違法化法案の可決を後押しした。写真は2018年6月、オーストリアのウィーンで行われた「臓器狩り」のデモンストレーション(GettyImages)

「臓器狩り共犯にならないで」 カナダ教授、渡航移植ビジネス禁止法案の可決を後押し

カナダの上院、下院で全会一致で通過した、臓器移植のための海外渡航ビジネスを犯罪と定める法案は今、上院の最終承認を待っている。カナダのマニトバ大学のマリア・チャン教授は16日、バンクーバー・サン紙への寄稿文で、「共犯になってはいけない」と呼び掛け、法案の通過を後押しした。

同教授は「中国での臓器移植濫用停止 国際ネットワーク(ETAC,End Transplant Abuse in China)」の一員でもある。

カナダの国会で最終審議に入っている、刑法および移民・難民関連保護法に修正を加える法案S-240は、国外での臓器収奪と臓器売買に関して新たな犯罪を設ける法案。法案が成立すれば、おぞましい犯罪の犠牲となってきた民族・宗教の少数派を保護することになる。

これまでにイスラエル、スペイン、台湾、イタリア、ノルウェーで、同様の法案が可決している。

海外渡航移植は、事前に十分な医療情報を得られず、帰国後、手術の情報が得られないケースもあるため、診療が難しいとされ、、患者にとっても非常に高いリスクを伴う。

チャン氏によると、現行の刑法は一部例外を除いて、カナダで行われた違法の移植のみ刑事訴訟の対象になる。このため、人道罪の恐れがある臓器移植に関わったとしても、罪に問われることはない。

チャン氏によると、トロントの聖ミカエル病院の腎移植責任者ジェフ・ザルツマン医師は2014年、少なくとも50人の自身の患者が、中国で移植手術を受けたことを明らかにした。ザルツマン氏は以後、強制的な臓器収奪問題に対処するため、議会が渡航移植を停止する法案を可決するよう主張している。

6月17日、英ロンドンで、中国臓器収奪を取り上げた民衆法廷の最終裁定が発表された。一年間にわたり、50人の証言者および多数の証拠を検証した結果、議長のジェフリー・ナイス卿は、臓器収奪は「相当な規模で現在も続いている」と結論付けた。

カナダ議会では、臓器渡航移植の非合法化について、過去何度か否決されてきた。チャン氏は寄稿文のなかで、カナダ国会が立法まで可決しなければ、その怠慢が、現代の最悪犯罪に関わる共犯者になることに等しいと述べ、ただちにこの中国臓器収奪の停止のために、法案を可決させるべきだと主張した。

(編集・佐渡道世)

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