中国は海軍艦船の電子兵器を増強している(GettyImages)

中国海軍の砕氷船、EMPなど対衛星兵器を搭載か

インドの衛星画像分析の専門家によると、中国海軍の新型砕氷船に電磁パルス攻撃システムなど、衛星攻撃兵器(ASAT)が搭載されている可能性があるという。最近、中国官製メディアは、海軍向けの短距離ミサイルに代替するレーザー兵器システムの試験の成功を報じた。

インド退役軍人で20年以上にわたり衛星画像を分析しているビナヤック・バート(Vinayak Bhat)氏は4月18日、現地紙プリントの寄稿記事のなかで、中国遼寧省旅順港で建造された、新型砕氷船を衛星から撮影した画像の分析結果を示した。

バート氏によると、中国の砕氷船は、衛星を無効化できる電磁パルス(EMP)兵器システムを搭載している可能性がある。

中国東部の遼寧省葫芦島(ころとう)市では、渤海に入る潜水艦などの海軍船を支援する新型の砕氷船タイプ722「海冰」と723「海冰」が航行する。公式発表によると、この砕氷船は長さ103.1メートル、高さ18.4メートル、排水量は4860トン。

バート氏による3月17日撮影の衛星画像で、この新型の砕氷船の1隻に、電磁パルス発生器と考えられる機器が搭載されていると指摘した。この機器は、非常に短い時間で、衛星を情報妨害したり無効化したりする電磁波を発生させることができる。

バート氏によると、以前撮影した新疆ウイグル自治区にあるEMP試験施設で見られた機器と比較すると、似た形状の機器が、このたびの新型砕氷船のヘリポートの後部に設置されている。

短距離対空ミサイルに代替するレーザー兵器

中国国営中央テレビ(CCTV)4月10日付によると、中国海軍はプロトタイプのレーザー兵器を試射したと報じた。

この兵器の詳細は公式には明かされていないが、英字誌「ジェーン防衛週刊(Jane’s Defence Weekly)」の分析によると、兵器は小型の2種で、光学式と無線周波数式とみられ、追跡センサーが付いている。

また、中国SNS新浪は、車両搭載型ならば、沿岸部戦力となり、船上搭載型ならば、約5キロを射程とするHHQ-10短距離対空ミサイルシステムに代替することもあり得るとした。

中国軍は2017年、約300m先の無人航空機をレーザー兵器システムで破壊することに成功したと発表した。

米陸軍大学校の戦略研究所ロバート・J・バンカー研究員は、大紀元の取材に答え、海軍を補佐する砕氷船の電子兵器の搭載について、「中国軍にとって戦略的な利点が多い」と述べた。

「第一に、EMPや対衛星(ASAT)攻撃は、電力を多く必要とする。また、見た目には砕氷船に過ぎないという点で、軍事的脅威とは見なされない場合がある」とした。

バンカー氏は、もし中国が電子兵器を搭載した原子力砕氷船を運行させれば、他国の軍はこれを通常攻撃できないという。核攻撃と見なされることがあるからだ。

このため、電子兵器を備えた原子力砕氷船は、「非常に高い抑止力を生み出す」とバンカー氏は分析した。

中国は現に原子力砕氷船を運行させている。2018年9月、中国初となる原子力国産砕氷船・雪竜2号を進水させた。北極圏や南極近海に投入されている。

英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、この実験的な砕氷船は、原子力空母建設への足がかりだと報じた。また、中国軍にとって砕氷船は、あらゆる技術兵器を搭載した通常の軍用船になる可能性があるとした。

米ドナルド・トランプ大統領は3月26日、米国の重要インフラをEMP攻撃から守るための大統領令に署名した。

大統領令は、国土安全保障省や国防総省、エネルギー省事務局に対し、「脆弱で優先度の高い重要インフラに、EMP攻撃の影響を軽減するための計画を作成する」ことを求めた。

(編集・佐渡道世)

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