全人代(国会相当)が開催中の天安門広場。2019年3月8日撮影(Andrea Verdelli/Getty Images)

中国両会のプロバガンダ 外国人記者の「挙手写真」でオープンな会見演出

中国の国会に当たる両会期間中に開かれた記者会見で、海外メディアの記者は質問のチャンスを求めて繰り返し手を挙げたが、一度も指名されることはなかった。しかし、挙手する記者の写真はのちに中国国営中央テレビ(CCTV)に「外国メディアが積極的に両会を取材している」とプロパガンダとして放送された。

英フィナンシャル・タイムズ中国特派員トム・ハンコック氏は3月8日、自身のSNSで、浙江省小規模会議の記者会見で海外記者は質問が許可されなかったにもかかわらず、自身が手を挙げた写真が現地官製テレビ局や新聞に宣伝目的で使われたと述べた。

中国国内メディア ・浙江在線は3月6日、浙江省代表団が「海外メディアに向けてオープンな会議を行った」と報じた。同紙はハンコック氏が手を挙げた別の写真を使い、「海外記者たちの質問は一問一答形式で行われ、夕方の6時まで続いた」と伝えた。

ネットユーザーは、「かなりの皮肉だ」「記者質問がニュースなのか」「もちろん、嘘を造り嘘を伝えなければ官製紙じゃない」「演出のための謝礼金を渡さなかったのかな」などとコメントした。

独立系ジャーナリストで作家の高瑜氏はSNSで「CCTVは、海外メディアが両会を『積極的に活動している』と印象操作している」と述べた。

両会開催の数日前、香港メディア・蘋果日報は、匿名で両会出席予定の人物の話として、中国中央当局は「質問を聞くのを禁止する命令」を出しており、出席者が海外メディアの取材に答えるのは禁じられていると明かした。

元中国共産党中央政治局常委の尉健行・中紀委書記のゴーストライターを務めた王友群氏は、大紀元のインタビューに答え、中国共産党の代弁者となる官製メディアの本質は「騙す」ことだと説明した。

(編集・佐渡道世)

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