中国当局と中国政府系メディアはこのほど、景気悪化と個人消費低迷実状を認めた。写真は2009年3月11日遼寧省瀋陽市にあるスラム街で撮影(China Photos/Getty Images)

中国当局、経済失速認める「世論に合わせるため」との指摘も

中国当局と中国政府系メディアがこのほど、今年の中国経済が一段と失速すると公言した。その真意について憶測が広がっている。

中国商務部(商務省)の王斌・市場運行司副司長は12日に開かれた2018年商務工作関連会議で、「中国消費市場における圧力が強まっている。今年の個人消費は一段と減速する可能性がある」と述べた。

消費動向を示す小売売上高は2018年に9%増となった。伸び率として15年ぶりの低水準となった。

中国メディアの報道では、王斌副司長は、昨年小売売上高の不振は自動車販売住宅市場の低迷に関係すると示した。

中国紙・証券日報12日付によると、2019年2月12日まで、上海と深セン両株式市場に上場する自動車メーカーのうちの16社が2018年度業績報告を公表した。なかに、「マクロ経済成長の減速、米中貿易戦、消費者心理の冷え込みの影響を受けて」、うちの12社が収益の減少や赤字拡大などを示した。自動車メーカー、吉利汽車や東風汽車などは今年の販売目標を、昨年の水準から引き下げて設定した。

また、「中国証券報」は、中国投資銀行、中国国際金融(CICC)の統計を引用し、旧正月の大型連休中、上海や南京など17の大中都市の新築住宅販売面積は前年同期と比べて56%減少したと伝えた。

中小都市の住宅市場も不調だという。CICCの統計によれば、今年1月1日から2月2日まで、60の中小都市の新築住宅販売面積は前年同期比8%減となった。前月比では30%減。

不動産開発企業の販売実績も低迷しているという。住宅市場調査会社の克而瑞が提供する月別統計では、中国トップ10社の不動産開発企業の1月の売上高は15%減少したという。

国営新華社通信傘下の「経済参考報」は11日、トップ一面に評論記事を掲載した。「今年中国経済が引き続き下振れ圧力に直面する。このため、1~3月期の国内総生産(GDP)伸び率は6%まで下落するだろう」と1990年以来の最低水準になると示唆した。

同評論記事は、すでに22の省・市政府が今年のGDP成長率目標を引き下げたことにも言及した。うち半数の地方政府は、GDP成長率目標を6%に下方修正したという。また記事は、今年1月の製造業購買担当者指数(PMI)が昨年12月に続き、景気拡大と悪化の分かれ目である50を下回ったことは、中国経済を支える製造業の不振局面が続いているのを浮き彫りにした、と主張した。

中国当局が景気悪化を公に認めた理由について、カナダ在住の中国人評論家の文昭氏は、米ラジオ・フリー・アジアに対して、「中国世論に合わせるためだ。多くの中国国民は身をもって経済の悪化を感じている。この状況下で当局が経済指標を水増したら、国民の実感とのギャップが広がり、国民の不満が高まるだろう」と述べた。

中国商務部はこのほど、2月4日から10日まで旧正月連休中の小売業と外食産業の売上高は前年比8.5%増と発表した。昨年同期の10.2%増を下回り、8年ぶりの低水準となった。

(翻訳編集・張哲)

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