中国でネット金融P2P業者が相次ぎ倒産 7月にすでに131社
中国では、インターネット上で中小企業や個人である借り手と一般投資家を仲介する融通事業、「P2P(ピア・ツー・ピア)金融」プラットフォームの倒産や閉鎖が相次いでいる。投資家の間では、資金回収ができないとして不安が広がっている。深セン市では23日抗議デモが起きた。
中国当局が今月6日に公表した『2018年上半期P2P発展監測報告』によると、6月30日時点で、中国国内では、2835社のP2P業者が運営を続けている。しかし、今年の上半期において、721社の業者が閉鎖となった。P2P業者の数はピーク時の5000社から約半減した。
7月に入ってから、P2P会社の倒産や閉鎖の勢いがさらに増した。
香港紙・香港経済日報(23日付)によると、7月2日から16日までの14日だけで、国内131社のP2P業者が突然閉鎖・倒産した。一部のP2Pプラットフォームの経営者は貸し手の資金を持ち逃げ、行方をくらましている。投資家に約1000億元(約1兆6300億円)の被害をもたらした。資金回収の見込みがほぼないとみられる。
P2P業者の大半は北京、上海、深センなど大都市に集中している。
また同紙は、5月以降に債務不履行(デフォルト)や倒産となった業者のうち、国家資本のP2P金融会社も多数あったと指摘した。
主因は、金融リスクを回避するため、中国当局によるデレバレッジ(債務圧縮)政策、理財商品業界やP2P金融などへの規制強化、国内金融市場における流動性の低下が挙げられる。
中国時事評論家の文小強氏は、P2P業者は、より多くの貸し手を呼び込むために、銀行の預金金利よりはるかに高い利回りを掲げていると述べた。なかには、10%や20%の利回りを提示する業者もいるという。しかし、一部の業者がねずみ講をして、市民の資金をだまし取ってきた。
文氏は、現在国内景気減速を背景にデフォルトの企業が増え、P2P金融の投資家の損失がさらに拡大する恐れがあると指摘した。
中国メディア「華夏時報」の21日の報道によると、中国国家インターネット金融研究センターの関係者は、「今年6月末まで、P2P金融の取引規模が7兆3000億元(約118兆円)を超えた。しかし、同月末まで、貸し手への未返還資金規模は1兆3000億元(約21兆1900億円)」とした。
被害拡大で投資家の抗議デモ頻発
投資家の被害拡大で、大規模な抗議デモに発展するなど、中国社会に新たな不安につながる可能性が高まった。
7月13日、深セン市にあるP2P業者「深セン投之家金融信息サービス有限公司」(以下、投之家)が事業閉鎖した。14日、同市警察当局は、同社がねずみ講を行った疑いがあるとして捜査を始めた。23日、同社の約400人の投資家が深セン市政府庁舎前に集まり、資金返還をめぐって陳情を行った。当局は数十人の警官を投入して警戒に当たった。
投之家のウェブサイトによると、同社は2014年に設立。利用者が29万人で、貸借の規模が266億元(約4336億円)。
2015年、P2P金融大手「e租宝」の投資プロジェクトの9割以上がねずみ講であると判明してから、被害を受けた投資家が中国各地で大規模なデモを行っていた。同社は、全国90万人の投資家から500億元(約8150億円)をだまし取ったと報じられた。
大紀元コメンテーターの陳思敏氏は、P2P金融業者の相次ぐ倒産で、「資金を持ち逃げする経営者の増加、従業員の失業、被害投資家の大規模な抗議デモに関する報道が増えるだろう」と話した。
(翻訳編集・張哲)