中国当局は17日、国営資産管理株式会社トップの賴小民氏に対して「重大な規律違反の疑いがある」として取り調べをしていると発表した。写真は、15年同社が香港株式市場の上場に関する会議に現れた賴小民氏(宋祥龍/大紀元)

中国、国営資産管理会社トップが失脚 金融界の大物と深い関係

中国共産党中央規律検査委員会(中規委)は17日、国営不良債権処理・金融サービス企業(バッドバンク)、中国華融資産管理株式会社(以下、華融)の賴小民会長兼党委員会書記(56)に対して、「重大な規律違反の疑いがある」として、取り調べを始めたと発表した。汚職問題で摘発されたとみられる。

中国当局が3月、新たに国家反腐敗機関「国家監察委員会」を設立した。賴氏は同委員会設立後、初めて摘発された金融界の大物幹部だ。

政府は1999年、4大国有銀行の不良債権処理を目的に資産管理会社4社を設立した。華融は総資産規模1兆8700億元(約31兆7900億円)と4社の中で最大規模(2017年末現在)。15年、香港株式市場に上場を果たした華融は現在、国内株式市場への上場を計画している。

習近平国家主席に近い中国メディア「財新網」によると、賴小民氏が華融のトップに就任してから9年間で、同社の海外向け社債発行や大規模な投資案件が急増したと指摘した。

賴氏は中国人民銀行の資金管理部門や貸付管理部門などで長く勤務し、03~09年に中国銀行監督管理委員会(銀監会)弁公庁主任などの要職を務めた。09年1月に華融の社長、12年には同社の会長兼党委員会書記に任命された。

同報道によると、賴氏が華融の会長を務めてから、同社は民営企業の「天元錳業」に対して、総規模数百億元(約数千億円)の資金を提供した。03年設立の天元錳業は、寧夏省のアルカリ電池やリチウム電池に使われる電解二酸化マンガンの生産メーカーで、「国内では名があまり知られていない企業」だという。

財新網は、「天元錳業は、実に華融の影の子会社。華融から提供された資金を運用し、華融が投資プロジェクトで失敗した分を穴埋めしていた」と指摘した。

また、国内外メディアの報道は、賴小民氏はすでに失脚した大富豪や党内腐敗高官と近い関係にある、と相次いで報道した。

昨年中国当局によって香港から本土に連行された富豪の肖建華氏は、華融の子会社「華融金控」の株式を保有している。肖氏は、中国共産党内江沢民派らの「金庫番」とされている。

15年、華融が香港株式市場で上場した際、国内不動産大手「遠洋地産」が華融の主要投資家となった。遠洋地産の筆頭株主は、経済犯罪で起訴されている富豪の呉小暉氏が率いる安邦保険集団だ。

海外中国語メディア「多維新聞」によると、賴小民氏が09年華融トップに就任後、四川省重慶市政府との間で戦略的提携関係を結び、同市で投資ファンド管理企業を設立した。重慶市の国有資産の増加に貢献したという。

当時の重慶市トップは薄熙来だ。薄は12年に腐敗などで失脚し、13年に収賄罪や職権乱用罪で無期懲役を言い渡された。

また同報道によると、賴氏は13年と14年に、薄熙来の後任・孫政才と会談した。「その後、華融の純資産規模は、09年の350億元(約5950憶円)から17年の1700億元(約2兆8900億円)以上に急拡大した」と2人が近い関係にあると同報道はほのめかした。

孫政才も今年2月収賄罪で起訴された。当局は、4月12日天津市地裁での公判で、孫が総規模1億7000万元(約29億円)以上の金品を収賄したとした。

習近平当局は金融業界の腐敗取り締まりを強化しており、これまで中国保険監督管理委員会(保監会)の項俊波主席(閣僚級)、国有保険大手の中国人保集團の王銀成・前総裁、銀監会の楊家才・主席補佐らが相次ぎ失脚していた。中規委は今年1月、金融界について反腐敗運動の「重点領域」と位置付けた。

(翻訳編集・張哲)

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