中国配車アプリ大手の滴滴出行はこのほど、ソフトバンクと合弁会社を設立し日本市場参入の計画を発表した。写真は2016年5月13日、中国のタクシー運転手が広西省桂林市の街で運行中に滴滴出行のGPS機能を使っている場面。(GREG BAKER/AFP/Getty Images)

中国配車アプリ「滴滴」、日本進出 「白タク」など課題も

中国の、インターネット配車サービス大手の滴滴出行(Didi Chunxing、以下は滴滴)は9日、ソフトバンクと合弁会社を設立し、今後日本タクシー市場に進出する計画を発表した。

ロイター通信(9日付)によると、両社は滴滴が現在使用している人工知能(AI)技術を搭載した配車予約サイトを導入し、日本のタクシー業界と運転手の運営の効率化を目指す。年内に、東京、大阪、京都、福岡などで同サイトの実験運営を行う予定だという。

配車サービスは、アプリで出発地と目的地を指定すると、登録した運転手が迎えに来る仕組み。

滴滴出行は2012年に設立され、配車サービスアプリ「滴滴打車」を開始させ、即時配車や翌日のタクシー予約サービスを提供し始めた。現在中国国内では、同配車アプリに登録しているドライバーの数は約200万人。また、国内500社のタクシー企業と業務提携をしている。昨年1年間、同配車アプリ利用者からの発注回数は11億回に上った。

滴滴とソフトバンクは現在、日本のタクシー市場や、政府の交通政策などに関して調査・研究を行っている。

また、米紙・ウォールストリート・ジャーナルによると、ソフトバンクの仲介を通じて、滴滴はすでに、第一交通産業グループと業務提携を結んだ。今後、中国人の訪日客が、日本でも滴滴の配車アプリを利用できるよう準備を進めているという。

同報道によると、ソフトバンクの孫正義・会長は、中国人訪日客の中に滴滴の利用者が多いことから、すでに日本に参入した米国同業の「ウーバー(Uber)」に比べ、滴滴の方が優勢だとの認識を示している。

しかし、滴滴は今後日本で事業展開していく上で、いくつかの課題があると推測する。

まず、営業許可を取得していない自家用車、いわゆる白タクが挙げられる。中国国内においては、一部の個人がドライバーとして滴滴のアプリに登録し、自家用車をタクシーにしている。

一部の報道によると、日本在住の中国人が、中国人観光客の日本滞在中に、自らドライバーを務め配車と観光ガイドサービスを提供すると、交流サイト(SNS)などを通じて宣伝している。このため、一部の空港や有名な観光地では中国人の「白タク」が横行していて、正規のタクシー会社の収益に打撃を及ぼしたと問題視されている。

日本では、国土交通大臣の許可なくタクシー事業を行うと、「3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金を処し、またはこれを併科」として、「白タク」に対して厳しく取り締まりを行っている。

滴滴の今後の日本市場での事業展開は、正規のタクシー会社だけに絞るのか、注目したい。

また中国国内の場合、利用者が滴滴の配車アプリで配車手続きをした後に、指定されたドライバーとの間で、アプリ内のメッセンジャー機能を使って、乗車場所の確認など、簡単なやり取りを行うのが一般的だ。

中国人の訪日客が日本で滴滴を利用した場合、日本人ドライバーとの間で、どのように「言葉の壁」を克服していくのか、今後の課題になりそうだ。

(翻訳編集・張哲)

 

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