米ホテル大手のマリオットに続き、米デルタ航空なども、ホームページでチベットや台湾を「国」として扱っているとして、中国当局に修正と謝罪を命じられた。(Scott Olson/Getty Images)

チベット、台湾などの問題で外資叩き過熱 中国問題専門家「事実上欧米への報復措置」

やはり「長いものに巻かれた」ほうが得策なのか。世界で名を馳せた一流企業が相次ぎ、中国当局への謝罪に追い込まれた。

中国当局はこのほど、「主権侵害」したとして、ホームページなどでチベット台湾を「国」と表記した、米ホテルチェーン大手マリオットに謝罪を求めた。さらに、米デルタ航空や西アパレル大手ZARAなどの有名外資企業も同様な表記を行ったとして、修正と謝罪を求めた。

一方、THAAD配備の問題と「Galaxy NOTE7」爆発問題で中国市場の大半を失った韓国のサムスン電子は、17年グループ全体の業績が過去最高となった。

 当局、欧米企業にネット取り締まりを強化

米ホテル大手マリオット・インターナショナルが今週初め、一部のポイントカード会員に対して行ったアンケートにおいて、香港、マカオ、台湾とチベットを「国家」として扱い表示した。このため、中国上海市ネット情報統制当局が11日、同日午後から同社の中国語ウェブサイトとスマートフォンなど向けアプリケーションを1週間閉鎖するとの処分を下した。同社はすでに、ソーシャルメディアを通じて「中国の主権と領土が完全であることを一貫して尊重し支持する」と4回も謝罪声明を公表した。

当局はその後、他の外資企業にも引き締めを強化し、波紋が広がっている。

上海市ネット情報統制当局は12日、スペインのアパレル大手ZARA、米医療機器大手「メドトロニック」がホームページで台湾を、また米デルタ航空がチベットと台湾を「国家」として扱っているとして、修正と謝罪を行うよう要求した。

3社はすでに、サイト上で同関連情報を修正した。

また、中国国内メディアによると、日本航空、ファッションブランドの「BVLGARI」、「CHANEL」、「Van Cleef & Arpels」など24社も中国語ホームページにも、台湾を「国家」として表示しているという。

台湾の対中国大陸政策を担当する行政院(内閣)大陸委員会は14日、中華民国は主権国家だとする書面を公表し、反発を示した。 

国内インターネット上では、今回の「主権問題」について、当局の主張に矛盾があるとの批判が多かった。「香港や台湾が中国の一部なら、なぜ私たちが香港・台湾に行く時、ビザを申請しないといけないし、出入国の手続きもやらないといけないのか?」「当局が自ら分裂活動を行っているではないか?」「(中国航空大手)南方航空のホームページにも、台湾を国として扱っている。当局はどうするの?」

大紀元時事評論員の夏小強氏は、今回当局がまた「民族主義」で外資叩きをしたのは、事実上欧米諸国への報復措置だとの認識を示した。米中貿易不均衡をめぐって、米政府は今年中国に対して多くの対抗措置の実施を目指している。

 17年サムスン電子業績が過去最高

 

一方、サムスン電子は昨年、中国当局主導のボイコット運動を受け、中国での市場を大半失った今、業績が逆に拡大していることがわかった。

サムスン電子が9日公表した2017年年度業績報告によると、第4四半期の営業利益が前年同期比63.8%増の15兆1000億ウォン(約1兆5100億円)に達し、過去最高となった。また17年通年の営業利益が同83.3%増の53兆6000億ウォン(約5兆3600億円)、売上高も過去最高で同18.7%増の239兆6000億ウォン(約23兆9600億円)。

中国メディア「証券日報」の昨年7月20日の報道によると、市場調査企業の統計によると、同年上半期のサムスン電子が中国のスマートフォン販売量は昨年同期比65.8%減と大幅に落ち込んだ。中国メディアは、中国での業績悪化でサムスン電子は中国市場から「敗退する可能性がある」とも報じた。

14億の人口を有する中国市場は魅力的だ。しかし、当局は「民族主義」やネット検閲、カードなど外国企業を次々に翻弄している。サムスン電子の事例では、外資企業が現在の中国市場から離れることは、実に企業業績の好調につながるきっかけになる可能性を示した。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
中国では和服を着用することが、愛国心の欠如と見なされ、時には「騒乱罪」で逮捕されることがある。特に2022年からの報告では、公安当局による逮捕や公開謝罪が強いられる事例が増加。なぜ中国共産党政権は和服を容認できないのだろうか?
中国は台湾周辺で過去最大規模の軍事演習「Joint Sword2024B」を実施し、台湾封鎖の準備を進めている。習近平政権は軍事力で台湾を孤立させる構えを見せ、国際社会への威圧を強めている。この封鎖が失敗すれば中共は…
米大統領選で誰が次期大統領になっても、米経済の減速が来年に懸念され、複数の専門家が指摘しています。
前回の続き妊婦や子供も容赦なく惨殺 日本人が忘れてはならない「通州事件」 2024年2月6日に掲載した記事を再 […]
最新の研究によると、地球温暖化の原因はCO2増加ではなく、雲量の減少で太陽光をより多く吸収したことにあると判明。気候変動の本当の原因は何なのか?IPCCの主張に異を唱える科学者たちが示す、新たな温暖化メカニズムに迫る