東京中野区の中国人女子留学生殺害事件 親友が見殺しか
昨年11月東京都中野区のアパートで中国人女子留学生・江歌さん(当時24歳)を殺害したとして、殺人などの罪に問われた中国籍の陳世峰被告(26)の裁判員裁判の初公判が11日、東京地裁(家令和典裁判長)で開かれた。陳被告は「被害者ともみ合っているうちに不意に首を刺した」と一部起訴内容を否認した。一方、被害者と同居していた中国人女性(被告の元交際相手)は、事件当時、被害者と同居していたアパートに先に逃げ込み内側から施錠したことを認めた。
検察側は冒頭陳述で、被告は元交際相手(被害者と同居)の女性に以前からつきまとい、犯行時も事前にナイフを準備していたと指摘。「被害者が警察を呼ぶと叫んだので、殺すことを決意した」と述べた。
陳被告は「被害者が、持っていたナイフを奪おうとしたので刺してしまった」と殺害の計画性を否定したものの、「その後、殺意を持って刺したのは事実だ」とも述べた。
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被告の元交際相手の劉鑫さんは事件当時、アパートに逃げた後「施錠はしていない」「よく覚えていない」と主張していた。しかし、検察が開示した証拠では、犯行最中の110番通報で、玄関ドアを施錠したかという警察の問いに、劉さんは「ハイ」と答えていた。通報の一部始終の録音には、ドアチャイムらしき音がしばらく鳴りつづけていた。
2015年に来日した法政大学院生の江さんと、劉さんは同郷で親友だった。劉さんは同棲していた中国籍の大学院生・陳世峰被告(26)と別れて江さんのアパートに転居したが、陳被告はアパートに押し掛けるなど劉さんに付きまとっていた。
事件当日の2016年11月3日深夜、アパート周辺で待ち伏せする陳がいっしょに帰宅する2人を襲撃し、江さんが刺殺され、アパートに逃げ込んだ劉さんは無事だった。
劉さんとその両親は事件後、遺族に対し「江歌さんの死には責任はない」「彼女は薄命だった」「これ以上騒ぎ立てると、警察の捜査に協力しない」などと吐き捨て、着信を拒否するなど連絡を絶った。
中国のインターネットでは「親友の江歌さんが身代りに殺されたのに」「冷血無情だ」などと劉さん一族に対する批判が噴出。犯行最中の施錠の有無が注目されていたが、劉さんが江さんを見殺しにしたと立証できたとしても、刑事責任を追究されることはないとみられる。
(翻訳編集・叶清)