国際人権デー、北京市で抗議デモ、出稼ぎ労働者の強制退去で

国際人権日の10日、中国北京市では、低所得層の出稼ぎ労働者に対する当局の強制退去に抗議するデモが市内複数の箇所で行われた。デモに参加した市民らは当局の措置が人権侵害であると強く非難した。香港メディアが伝えた。

香港紙・香港経済日報によると同日、朝陽区費家村では数百人の住民が村政府の入る建物の前で集会し、「暴力による退去は人権の侵害」などと叫び、プラカードを挙げて抗議を行った。

報道によると、同村政府はこのほど、村内の賃貸住宅に住む地方出身の労働者に対して、10日までに退去するよう通達した。当局は、住民が退去しない場合は、断水・停電などの措置を講じるほか、賃貸契約を結ぶ際に納めた敷金などを返金しないとした。

1カ月前に同村に移り住んだばかりの住民は、当初当局からこのような措置があるとは聞かされていなかったうえ、最近、アパートの大家に毎日、家を明け渡すよう催促されている、と強い不満を示した。

同紙は、北京市内のほかの地区にある賃貸住宅は、強制退去の労働者で満員状態になっているため、一部は仕事を辞めて地元に戻るしかない、と報じた。

インターネット上でも、朝陽区費家村での抗議デモに関する写真や映像の投稿が多くみられた。中には、住民らによる集会やデモ行進は1時間以上続いたとの情報があった。また、抗議デモ中に住民と警察当局が対峙した場面もあったが、衝突はなく負傷者もいなかったという。

一方、香港紙・香港真理報も10日、同紙ツィッターアカウントで、北京市大興区南中軸路と南小街の住民らによる抗議デモが行われたと報道した。また、デモの様子の映像を投稿した。

同紙によると、街に集まった多くの住民らは当局の停電・断水措置に強く抗議していた。抗議デモの情報を聞き、駆け付けて来て参加した住民も多かったという。

停電・断水の理由は同地区の住民が当局の退去命令を拒んだためだとみられる。

大興区の村では11月19日、地方出身労働者が住む簡易アパートで大規模な火事が発生し、19人が死亡した。市当局はこの火事をきっかけに、低所得層の出稼ぎ労働者、いわゆる低ランク人口に対する強制退去措置を始めた。

(翻訳編集・張哲)

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