加ボンバルディアへの米相殺関税仮決定、NAFTA再協議に影

[モントリオール/ベルファスト 27日 ロイター] – 米商務省がカナダの重工業大手ボンバルディアの旅客機「Cシリーズ」に220%の相殺関税を課す方針を決めたことが、カナダのオタワで行われた米、カナダ、メキシコによる北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉会合に影を落とした。

27日まで行われた第3回会合で、カナダと米国はともに、米国政府の決定を受けて両国関係がぎくしゃくしたものになったと認めた。

カナダのフリーランド外相は、この問題をライトハイザー米通商代表部(USTR)代表と協議したと明らかにした。ライトハイザー氏は記者団に、「(両国)関係に影響はあるが、この交渉への影響はない」と述べた。

米商務省は米航空大手ボーイングがカナダ政府によるボンバルディアへの不当な補助金について調査を申し立てたことを受け、補助金分に相当する相殺関税を仮決定。最終決定で相殺関税が確定すれば、ボンバルディアは事実上、米市場から締め出されることになる。

ボンバルディアの株価は27日の取引で一時14%下落したが、その後は下げ幅を縮小し7.5%安の2.10カナダドルで引けた。マーケットアクセスのデータによると、同社の投資不適格(ジャンク)級格付けの債券の多くも値を下げた。

ボンバルディアが数多くの従業員を抱えるカナダ・ケベック州のクイヤール首相はカナダ政府に対し、この問題で和解が成立するまでは、ボーイング製の航空機や部品を完全にカナダから締め出すよう訴えた。

ボーイングは文書で、今回の申し立てはカナダへの攻撃ではなくボンバルディアとの商事紛争であることをあらためて強調した。

カナダのトルドー首相は米国の決定に遺憾の意を表明し、「カナダの健全な雇用環境のために引き続き闘う」と述べた。

英国政府もボーイングに対し、この紛争を理由に英国と軍事装備品の契約が結べなくなる可能性があると警告した。ボンバルディアは、英領北アイルランドの工場で数多くの従業員を雇用している。

ボーイングは4月、ボンバルディアがカナダ政府の補助を受けて原価を下回る不当に安い価格でCシリーズを米デルタ航空に販売したと申し立てていた。

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