中国国家統計局が14日、8月工業増加値は前年同月比6%増と発表し、2カ月連続の鈍化となった。2015年9月15日、四川省のある石炭採掘場。従業員が石炭を蒸気機関車に積む様子。(ZhangPeng/LightRocket via Getty Images)

中国8月主要経済指標悪化、固定投資は18年ぶりの低水準

中国当局がこのほど発表した工業生産や不動産、輸出など主要経済指標が事前予測を大幅に下回っため、専門家は今後経済の減速が続くとの見通しを示した。

中国国家統計局が14日、8月工業増加値(鉱工業における付加価値額に相当)は前年同月比6%増と発表し、2カ月連続の鈍化となった。

6月の工業増加値は同7.6%増だった。しかし7月には伸び率が7%台から6%台に落ち込み、同6.4%増となった。米紙・ウォールストリート・ジャーナル(14日)によると、一部の市場関係者は事前、8月の工業増加値が6.6%増と予測した。

中国国内の消費状況を示す8月の社会消費品小売総額(小売売上高)は8月、前年同月比10.1%増となった。7月の10.4%増から0.3%下落した。また事前予想は10.5%増だった。

1~8月までの固定資産投資は前年同期比7.8%増。伸び率として、1999年以降初めて8%台を下回り、過去最低となった。事前予想値は8.2%増だった。

また、中国経済の主要けん引力の一つ、輸出に関しては、中国当局は8月の輸出額は同6.9%増で、7月の10.8%増から大幅に鈍化した。今年2月以降の低水準となった。

ウォールストリート・ジャーナルは、エコノミストの分析を引用し、中国当局が金融セクターへの引き締めや、不動産価格抑制政策のほかに、景気対策の効果が薄れてきたことが国内需要を縮小させたとの認識を示した。

中国当局が6月発表した経済指標が市場関係者の予想より大幅上回ったため、国内外一部の経済学者は、中国経済が新たな上昇サイクルに入ったと唱えた。

しかし、中国の証券会社・九州証券は、8月の経済統計では改めて経済減速が証明され、「いわゆる新たな上昇サイクルは存在しない」との見解を示した。

中信建投証券の債券アナリストの黄文濤氏は、6月中国経済統計の改善は、長期景気後退サイクルについて、当局が実施してきた経済刺激対策と関係すると指摘した。しかし今年下半期の下振れ圧力は依然、拡大していると分析する。

中国人民銀行(中央銀行)は11~13日まで3日間連続、人民元の対ドルの基準値をドル高元安に設定した。今年に入ってから、元は対ドルで約7%上昇した。元高で輸出企業の減収につながるとの懸念から、当局が元高の抑制に動き出したとみられる。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]