江蘇省塩城で合弁企業を持つ韓国・起亜自動車。(JUNG YEON-JE/AFP/Getty Images)

「THAADショック」が市民の生活を直撃=江蘇省塩城

中国当局は、米国が今年3月高高度迎撃ミサイルシステム「サード(THAAD)」を韓国に配備したことを受けて、国内で韓国製品へのボイコットなどの報復措置を取った。この影響で、韓国自動車メーカー・起亜自動車(以下、起亜)の今年1〜6月における中国での販売台数が大幅に落ち込んだ。起亜の中国合弁子会社、東風悦達起亜自動車有限公司の本社がある江蘇省塩城では、市民生活は「THAADショック」が直撃した。

米紙・ウォールストリート・ジャーナル(24日付)によると、今年3月から6月までの同社および親会社の現代自動車が中国での販売台数が約61%減少した。塩城の工場では一部の労働者が7月に、3日しか出勤せず、給料も半減した。

市民らはこのほど大紀元の取材に対して、生活が苦しくなったと現状を語った。

「起亜が不景気で、店の儲けもかなり悪くなった」と話したのは、起亜自動車の本部の近くにある食堂でコックをしている趙さん。「工場で働く人は給料が減らされたから、外食をやめたんだ。ほかの料理屋も皆ガラガラだ」。

趙さんによると、起亜自動車の工場で車の空調組み立てとアフターサービスを担当する友人は今、外食の宅配や個人タクシーなどのアルバイトで生計を立てているという。

また、塩城の住宅価格も近年高騰し、すでに1平方メートル当たり1万元(約16万4000円)に達した。住宅ローンを組んでいる起亜の従業員らは今、ローン返済に苦しんでいるという。

起亜自動車とその他の自動車部品メーカーなどは塩城の経済発展を支える重要な自動車産業で、多くの市民が同産業で働いている。

市民の李さんは「起亜の収益が悪くなると、この町の皆の生活が影響される」「今どう生活していくかがわからない。私たちは、少しよい暮らしをしたいだけなのに」と嘆いた。

また当局のサード報復措置で、部品メーカーも打撃を受けているという。

台湾メディアの中央社が7月中旬、起亜の販売台数の激減で、塩城で自動車用ガラスを製造する台湾系企業の収益は今年目標の6割まで下がる見込みだと報じた。

2015年6月、江蘇省塩城市に初となる中韓産業園が建設される。210平方キロの敷地に1000社以上もの韓国企業が進出した。

かつて国営河北人民広播電台(ラジオ放送局)で編集者を務めた朱欣欣氏は、「中国当局はいつも愛国主義や民族主義を利用して、当局の目的達成ために国民の感情を煽っている。政策が国民の生活や企業の経営活動にどう影響するか、今までもこれからも考えないだろう」と非難した。

また「当局は、サード配備が中国の安全保障を脅かしていると非常にばかげた説明をした。北朝鮮の核・ミサイル開発を手助けしたのは中国当局だ。中国共産党が北朝鮮問題を引き起こした張本人だ」と指摘した。

朱氏は中国に進出しようとする外国企業に対して、虚言を弄する中国当局に警戒感を持つようと呼びかける。「中国進出の際、当局は外国企業に『提携』や『連携』で互恵関係を築いていくと口先で約束する。しかし、当局は政治的目的を達成したい時、政策を直ちに変更すしてしまう」。

(記者・簫律生、翻訳編集・張哲)

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