上海「司法界のドン」が失脚した。中国国内の専門家は、次は江沢民の甥・呉志明氏と予想する(JOHANNES EISELE/AFP/Getty Images)

上海「司法界のドン」失脚、次は江沢民の甥か=専門家

中国共産党中央紀律委員会(中紀委)は5月25日、政治規律に違反し司法妨害したとして、上海市検察院前トップ、陳旭氏の党籍をはく奪し、立件調査すると発表した。中国国内の専門家は、習近平氏の敵対勢力である江沢民派閥の陳旭氏を失脚させたことは、江派の本拠地である上海で、習近平氏の勢力範囲を拡大させるための前哨戦だと分析する。また、次に失脚させられるのは江沢民の甥・呉志明氏である可能性が高いという。

上海「司法界のドン」失脚

今年3月1日、中紀委は、陳旭氏が「厳重な規律違反」の疑いで当局の取り調べを受けていると発表した。中国メディアによると、陳氏は上海市警察当局、裁判所、検察院などを総括する政法当局で広い人脈を持ち、上海「司法界のドン」と呼ばれている。

陳氏は江派「上海幇」の重要人物で、呉志明氏の元部下だ。呉氏は現在、中国人民政治協商会議上海市委員会主席を務めている。

中国時事評論家の華頗氏は大紀元に対して、陳氏の失脚は習近平陣営が今後、江派勢力が強かった上海の政治、司法、経済界を完全に掌握するための前哨戦だと分析した。

華氏は、「上海政界の状況は非常に複雑だが、上海は中国の経済大都市であるため、当局にとって非常に重要な場所だ」とした。

「習氏はまず陳旭氏のような高官らの腐敗証拠を掴まなければならない。それから、その背後にいる後ろ盾は誰なのかを知る必要がある。上海で勢力を拡大していくには、まず上海市最高層の高官を一人ぐらい抑えなければならない」「今は省部級レベルの官僚しか取り締まっていないから、まだ駄目だ」と述べた。

華氏は、江派とのつながりが深い同市政府高層の高官や呉志明氏など江沢民の最側近人物らは今後、習近平陣営の次の打撃対象になる可能性が非常に高いとの見解を示した。

中国国内時事評論家の陳明慧氏も次に失脚するのは呉志明氏だと、華頗氏と同様な見解を示した。

陳明慧氏は、上海市政法委員会トップだった呉志明氏は過去、人権活動家や法輪功愛好者などに対して迫害し、経済犯罪も行ってきたため、一日も早く法で裁く必要があるとし、「しかし、習近平当局は汚職腐敗として呉氏を捉えるだろう。呉氏を捉えた後、上海幇への包囲網がさらに狭まるだろう」と示した。  

また、「上海は他の省・市と違い、江派勢力が根強い。上海で、中紀委トップの王岐山氏らが主導する反腐敗キャンペーンには数多くの障害があった」「上海市の元検察長が失脚したことは、王氏が最近得た新たな大成果だ」「陳旭氏の失脚は、習陣営が江派への攻勢を一段と強めていくシグナルだ」と指摘した。

陳明慧氏は、習近平陣営と江派との闘争はすでに、食うか食われるかの境地に達したとした。

今秋に開催される予定の「中国共産党第19回全国代表大会」(19大)で、習近平氏が主導する反腐敗キャンペーンは    6年目を迎える。陳明慧氏は、「当局にとって、現在反腐敗キャンペーンを一段と深化する必要がある」との見解を示し、「江派の重要犯罪者、主犯を早急に法で処罰するべきだ。これができてはじめて、(キャンペーンが)有意義になる」とコメントをした。    

(記者・易如、方明/翻訳編集・張哲)

関連記事
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]