中国人権弁護士大規模逮捕事件 拷問証言多数 調査求める

2015年7月9日から2カ月間で中国各地で人権弁護士や人権活動家など約320人がたて続けて勾留・逮捕され、国際社会の注目を集めた「709事件」。この事件に絡んで、収容施設で不明薬物を強制に摂取させられるなど拷問や虐待を受けたという関係者の証言があいつぎ、14日、130人の弁護士からなる「中国人権弁護団」が全国人民代表大会への公開状を発表し、実態を公正に調査すること、結果を公表することを求めた。

拷問や虐待の内容は、数日間にわたる睡眠剥奪、不明薬物の強制摂取(証言多数)、最長2週間、身体を縛りつけたまま拘束するなど、いずれも中国の収容施設で常用する手法だとみられる。

公開状に連署した北京在住の余文生弁護士は米国営放送ラジオ・フリー・アジア(RFA)の電話取材で、「大量の証拠・証言があるにも関わらず、当局は拷問の事実を否認している」と話した。

中国の人権弁護士を支援する香港の民間団体「中国維権律師関注組」(China Human Rights Lawyers Concern Group,CHRLCG)のホームページによると、709事件の関係者全員のうち、今年4月21日時点で一審判決が出たのは6人、勾留中は8人(うち一人は所在不明)、保釈中は15人、釈放されたのは264人。

一審判決をうけた6人のうち、弁護士の4人は国家政権転覆罪で2人は懲役7年6カ月と7年、2人は執行猶予付きの懲役3年、人権活動家の2人は社会秩序騒乱の罪で懲役1年8カ月と2年の判決だった。

仮釈放された女性弁護士、李姝雲氏はインターネット上で勾留される9カ月間の処遇を「(発ガン性化学物質)ホルムアルデヒドの匂いが充満する狭い密室に6カ月間も閉じ込められ、直立不動の状態を16時間強いられ、7カ月間にわたって不明薬物を摂取させられ、死刑囚と隣り合わせで寝る…」などとあかした。勾留中に彼女は意識を失って倒れることも度々あったという。現在も精神障害、脱力などの症状に苦しんでいる。

集団弾圧されている気功団体・法輪功の愛好者などの弁護を引き受けてきた王全璋弁護士は国家政権転覆罪で逮捕されて未だに消息不明。安否を心配する妻は12日、中国最高法院(最高裁)に書簡を提出し、夫の近況を開示するよう求めている。

709事件の直後、国連人権高等弁務官事務所や、米国務省、アムネスティなどの国際人権団体があいつぎ、人権への抑圧だと非難し、犯罪事実のない人々の釈放を求めた。

駐タイ米大使館は今月初旬、勾留中の一人、謝陽弁護士の妻と娘2人(次女は米国籍)を、避難先のタイで中国に強制送還される間際に救出し米国に出国させた。

(翻訳編集・叶清)

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