中国の収容所

「まるでブタや犬の扱い」ウォルマートで買った財布からSOSメモ

米アリゾナ州の女性は最近、義母がスーパーマーケットで購入した財布の中に、中国広西省の刑務所にいる囚人からのSOSメモが入っているのを発見した。現地テレビ局KVOA・TVが7日に報じた。

同局の取材に答えたメモ発見者のローラ・ウォレスさんによると、中国語で書かれたメモは、財布の内ポケットに折りたたまれたという。

公開されたメモには、広西チワン族自治区の霊山刑務所で収監者が受けている過酷な労働について書かれていた。

「休憩なく毎日14時間働いています。深夜12時まで働き続け、仕事が終わらなければ殴られます。食事に油や塩がありません。(略)病気で薬が必要な場合、その費用は給与から差し引かれます」「中国の刑務所は、アメリカの刑務所とは異なり、まるで馬、牛、ヤギ、豚、犬…(非人道的な扱いの意味)」。

これについてウォルマートは、KVOA・TVに対して、メモの出所を確認することができず、具体的にコメントできないと説明を拒んだ。いっぽうでNews 4 Tucsonに対して、「ウォルマートで販売する製品を卸すサプライヤーの要件の1つは、私たちの定める自由意志の基準をクリアしていなければならない」と述べた。

過去にも 製品から中国囚人のSOSメモ

こうした中国の刑務所を生産工場とする海外の小売店で、囚人からSOSのメモが製品から見つかったのは、これが初めてではない。

2012年、米国オレゴン州ダマスカスで、ハロウィンの玩具の中に、英語で書かれた拷問の惨さと救助を求めるメモが発見され、英語圏の主要メディアがこぞって中国の収容所の人権侵害を報道した。書いた人物は2016年に中国を脱することに成功し、隠された中国の収容所の状況を大紀元に明かした。

英国では2015年、デパートで購入した靴下の内側に中国語のSOSメモが書かれていた。書いた人物は安徽省の刑務所にいる39歳の男性で、現地の腐敗高官を告発したところ、囚われの身になったという。

この数カ月前、同じ人物が書いたものとみられる同様のメモが、ドイツのダブリンにある別の量販店で購入された靴下に入っていたことが、アムネスティ・インターナショナルの報道で明らかになっている。

2013年に中国で受刑者たちに過酷な生産労働を科す労教(労働矯正制度)は正式に廃止されたが、人権専門家たちは、実際には刑務所、拘置所、精神病院、非公式の闇の刑務所は、ほとんど同じ目的で、海外メーカーの製品を製造する生産工場となっていると指摘する。

(翻訳編集・佐渡 道世)

関連記事
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]