最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表(64、左)が支持率トップを誇ってきたが、最近では第2野党「国民の党」の安哲秀前共同代表(55、右)が猛追している。(credit,R,GettyImages/L,Jinho Jung from Seoul)

弾劾で5月選挙 韓国、本格的な大統領選スタート

韓国大統領朴槿恵(パク・クネ)容疑者の罷免による5月の大統領選に向け、韓国の主要政党は4日、全候補を確定した。本格的な選挙戦が始まった。

これまで、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表(64)が支持率トップを誇ってきたが、最近では第2野党「国民の党」の安哲秀前共同代表(55)が猛追している。

他の候補者は「自由韓国党」の洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏、「正しい政党」の劉承ミン(ユ・スンミン)氏、「正義党」の沈相ジョン(シム・サンジョン)氏。

文氏と安氏 一騎打ちなるか

民主運動や親北派といわれる文氏は革新色が強いとして、保守・中道層は抵抗し、中道の安氏に支持が流れているとの報道がある。

これまで独走と見られた文氏は「もっとも大統領に近い男」と例えられてきた。民主主義家で北朝鮮とは宥和な姿勢。第16代大統領・盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏と親密で、当時の大統領府秘書室長を担当した。

現在、支持率2位の安氏は、ソフトウェア開発で成功を収めた実業家としての側面を持ち、若者を中心に支持が広がる。

文氏側は「不動の1位」を強調するが、安氏側は一騎打ちの構図を描き、票の伸びでは文氏より優位だと主張。実際、中央日報が4~5日に行った世論調査では、2者に候補を絞った場合、支持率は文氏42.7%、安氏は50.7%と逆転した。

専門家は、安氏への支持の高まりについて、中道・保守派の支持者は左派に傾く文氏よりも中道をとる安氏に傾いたと分析する。

また保守層にとって、当選可能性が低いとみる洪氏や劉氏の代わりに、有力候補となった安氏を支持することにより、革新派の文氏の当選を避けたいとの意思が見られるとも考えられている。

MBN・毎日経済新聞の共同依頼に世論調査会社リアルメーターが5日、全国の有権者1800人を対象に実施した世論調査によると、多者間の対決で共に民主党の文氏41.3%、国民の党の安氏34.5%、自由韓国党の洪氏9.2%、正しい政党の劉氏3.0%、正義党の沈氏2.5%の順だった。

他野党は連帯のアイデア探る

他の保守陣営はどうだろう。他野党「自由韓国党」の洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏、「正しい政党」の劉承ミン(ユ・スンミン)氏は、互いに自らは「保守の嫡統」であることを訴えて大統領の弾劾以後、「シャイ(shy)保守」(保守内の中間層)などの言葉を作り、中道~保守の有権者の心をつかむ作戦を講じる。

共に民主党を除く自由韓国党、正しい政党、国民の党候補間の非文連帯の可能性は、まだ議論されている。

非文陣営が単一候補を決定する場合、事実上、安氏と文氏の一騎打ちが成り立ち、文氏側は警戒心を抱いている様子。

非文陣営は、4つの院内交渉団体システムの中で円満な国政運営のために避けられない分権型改憲や連立政府、協治において文氏が消極的な態度で一貫し、覇権的な態度を見せるとして「覇権清算論」を打ち出している。

これに対して文氏は、大統領と一緒に弾劾された元セヌリ党を中心にした非文連帯を「積弊連帯」と規定、積弊清算論」で対抗ている。これは非文連帯の受益者になる安氏を狙ったというのが一般的な観測。

しかし、安氏が人為的な連帯に否定的な立場を明らかにして「自強論」に傍点を打ち、洪氏と劉氏も候補選出以降には連帯と遠ざかる方向のため、非文連帯の成功は未知数という予想は少なくない。

(翻訳編集・斎潤)

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